第42話 奴隷?
アイテムボックスに入っているアイテムを確認して整理するだけなのに2日かかった。途轍もない疲労感がヨシヒトを襲う。
一回寝てからまた外へと繰り出そうとベッドに横になる。
「ヨシヒト。ここにいるって聞いたぞ」
野太いジジイの声がする。
「えー? オジサマの息子さん?」「えー、誰? 誰?」
その背後から知らない声がいくつかすることに気がつく。
「めんどくさいな」
そう呟きながらその声の主を部屋に入れようと鍵を開ける。
「おお。生きておったか。最近降りてきてないと聞いたからの」
ドラケンはその背中におっぱい星人を飼っていた。
金髪で出ているところが出すぎている巨大なおっぱい。
あまり他種族と関わりを持たないエルフだった。それも一番キライなドワーフであるドラケンにしなだれかかっている。どんな関係だ?
その背後には三人くらいのエルフや獣耳の少女が見える。
「安心せい。コイツ等を買ってきてやったぞ」
「は? 買った?」
「カノンちゃんがいなくて寂しかったろう。その代わりと言ってはなんじゃが。結構かわいい娘達じゃろ」
そう言ってドラケンはその三人の少女をヨシヒトの前に立たせる。
身長はエルフが一番高い。くすんだ金色の髪は肩で切りそろえられており、前髪には可愛らしいピン留めが分け目を作っていた。瞳の色は薄い青と金色のオッドアイ。正直言って普通に可愛い。
ヨシヒトの視線でなにを思ったかその瞳がうるうると涙をためていた。
ふむ。体の方は普通か。あまり大きくはない普通の少女。中学2年生の平均くらいか。
二人目は狼のような尖った耳をピンと突き立てている女の子。黒髪で黒い毛並みをしていた。腰辺りにはふるふると揺れている黒いしっぽが見える。きれいに整えられているようで、キューティクルのテカリが見える。いや、洗ってないだけかもしれないが。
瞳は赤色。その両目でヨシヒトを射殺さんとばかりに睨まれているのがわかる。もしも二人だけだったら獲物であるヨシヒトなんてぺろりと食べられるかもしれない。
三人目は種族は知識不足でわからない。
額あたりから角が二本生えているので鬼族とかなんかか。しかしながらヨシヒトはなにもわからない。正直この世界の知識がゲームだったといえど設定など完全に把握していたわけでもない。
が、この少女は可愛い。きつく一文字で口を結び、上目遣いでヨシヒトを見上げている。
年齢的には正直に言ってわからないが保護欲をそそられる。
「おいおい。こいつがいいのか?」
ドラケンはあまり触りたくなさげに鬼の娘を指す。
おっぱいエルフはニンマリと笑って鬼の娘の頭をなでながら
「良いご主人さまだと良いね」
と耳元で囁いてるのが聞こえる。
部屋が大きくないので聞こえるのは仕方がない。しかし、ご主人さまときた。
もしかしてこの子らを俺が養わなければならないのか? どういう状況なのかイマイチ把握していないヨシヒト。それに見かねたドラケンがやっと説明を始めた。
「まぁ、どれを選んでも一緒だがな。どれも俺が買った。持ち主はヨシヒトじゃ」
「そうねぇ。仕方がないこととはいえ、三人の娘を養える財力がこの男の子が持ってるとは思えないわぁ。でもいいの。ドラケンくんが言ったからぁ」
「? 説明すると言ったら説明してくれよ。どういう状況だ?」
「端的に言うとな。愛玩奴隷じゃな。まぁ、そう言ってるだけでなんの契約もない。一般的に言う労働奴隷に使われる契約魔法など使われておらん身売りした娘たちじゃ。
最低限の衣食住を保証して身の回りを世話してもらう、家政婦みたいなもんじゃな。お触りは本人が許可した場合のみオーケー。
娘たちにはなんの制約も契約魔法も掛かっていないのじゃから逃げられることもあるじゃろうな。
まぁ、逃げたところでこの歳の娘等が生活できるとは限らんが」
「なに? じゃあお手伝いさんか。そうか。じゃあいらないな」
その返答を知っていたかのようにドラケンが頷いた。
「しょうがないのう」
背後にいたおっぱいエルフに視線を向ける。
「あまりこんな手は使いたくないのだけれどぉ。ドラケンくんの頼みだからしょうがないのぉ」
彼女の右掌に魔法陣が現れる。それをヨシヒトの手の甲に合わせる。
そしてもう片方の左の手のひらには右とは色の違った禍々しい魔法陣が現れてそれを鬼の少女の首元に重ねるようにそれを置いた。
「奴隷魔法じゃ。あと二回」
「いらないと言ったのに」
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