2章 冒険
第24話 夢のような話
自由都市アーバンといえば、最近発展してきた優良都市。そこの土地を買っていたら必ず上がる。そんなバブル経済に湧いていた。
理由は一つだけ。
ダンジョンのレベルが上がったのだった。
都市ダンジョンは中の取れる素材や材料、貴金属などそのまま換金できるドロップ品を主な歳入源とする。レベルが上がるというのはダンジョン協会が判定することではあるが、ダンジョンの換金率が高い、有用性が大きい、稼げる、などたくさんの観点からなる。
よって、レベルが上がればヒトが集まるのだ。
そのレベルが上がる理由の一つとして、注目されることがある。
今回自由都市アーバンのダンジョンが世界的に有名になった理由の一つが、ダンジョン覇者ドラケンの失踪が挙がる。
ヒトが死んで死んだ場所が持ち上げられるとは悲劇的ではあるが、しかしアーバン側からすれば死んでくれてありがとう。なのだろう。
それで一度アーバンダンジョンの調査が入れば、このダンジョンの最高攻略階層からすれば圧倒的に深い階層が沢山あることが証明された。
その上、その深い階層までの安全な探索コースまでもその調査で確立されたことが冒険者からすればとてもありがたいことである。
それは、楽に深層アイテムを沢山持ち帰ることができるのだから。
よって、その都市には冒険者が集中した。その結果、冒険者を中心にした商業を生業とする人間が沢山移住してくる。ヒトが買う生活必需品を売るアイテム屋が儲かる。それを作る人間が儲かる。儲かればアイテム屋で使われる金が増える。そんな好循環が人に活気をつける。
ドラケンという人間が死ぬことでここまで都市を活気づけることになるとは誰が予想しただろうか。
自由都市アーバンは、この2年間で発展度は世界から見ても随一。
もうすぐ国として認められてもいいのではないのか? なんて噂も立ちはじめるのだ。
しかし、こんな噂もある。
ドラケンはまだ生きているのではないのか。
そんなに深いダンジョンであれば相当深いところまで潜っているのではないのか。行って戻って来るまでどれだけ時間がかかるのか。
しかし、一月も戻って来ることはなかったのだ。死んだと思ってもいいだろう。
そう考えたギルド職員の一人が本部ギルドに調査を依頼したことが、この都市をここまでにしたのだ。
そのギルド職員は、いまだに仕事に追われていた。
「そういえば、あの時期、新しいヒトが入ってきたような…………」
そんな記憶はその日の終わりに飲んだアルコールに溶かされた。
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