第二章 アレス級超大型攻撃型潜水艦(改修後)

エピソード7 改修後

 アレス級攻撃型潜水艦は、現在停泊常時港としている中立都市サラザールに改修のため停泊していた。

「輸送船リビア号とクレセール号を救援してもう、2年か・・・早いなぁ」

 異世界版カフェ・オ・レを一口飲み、サンセットチェアーでサングラスをしているのがアレス級攻撃型潜水艦艦長のメルストリアだ。


 彼は元々地球と呼ばれる場所で生きていた。殉職前の仕事は、日本国海上自衛隊の潜水艦『おおしお』の艦長だった。しかし、第3次世界大戦時に中国潜水艦の攻撃を受け、艦と命を共に殉職した過去を持つ。

 異世界に転生して孤児院だったが、後に副艦長となる亜人族のティターニャと育ち、今ではシーウルフ級原子力潜水艦を改装したアレス級攻撃型潜水艦の艦長をしている。

「懐かしいな、ティターニャとの思い出が」

「アタシの思い出が、どうしたの。メル?」

 いつの間にか目の前に来ていたティターニャが、声を掛けてきた。

「ん?あ、いや、昔を思い出していた」

「あははは、やっぱり・・・孤児院時代は楽しい思い出しかないよねぇ〜!」

 気楽に微笑んでいるティターニャと一緒に「ああ、そうだな!」とくしゃくしゃになるまでティターニャの頭を撫でていた。


 改修後、アレス級攻撃型潜水艦は超大型攻撃型潜水艦になった。魔導機関タービンをなんと16基から24基にしてボイラーは8基から12基にパワーアップしたため公試での水中速度は脅威の35,7ノットを叩き出した。さらに居住性が改善されて、今まで共同仕様だった水回りが各船室にシャワー室と手洗場が設備された。

「ま、俺たちドワーフの手に任せたら一流でも超一流でも仕上げてやるよ!」

 ガハハ!と大船に乗った様な安心感を全身から出しているのはドワーフのリムという腕利きの職人だ。

「まぁ。いつもテッコウセキだったか?アレをうちに仕入れてきてくれるから、特別サービスで無料だぜ。あんちゃん!」

「助かった、有難う」

「お礼するのは、こっちだぜ!その鉄鯨アレス級超大型攻撃型潜水艦でエルガー海を見守ってくれよな!」

「ええ!俺たちはエルガー海のメガロドンと呼ばれるまでは、続けますよ」

「エルガー海のメガロドンかぁ・・・、いい響きだなぁ!」

 その後、サラザール港の漁師やリムさんらが港で手を振り改修を終え新品同様に光り輝くアレス級超大型攻撃型潜水艦を見送った。

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