エピソード6 対水上戦闘

 午後15時00分、アレス級攻撃型潜水艦内では赤色灯が点滅して慌ただしくなっていた。

「7時方向に敵艦影3隻!」

「音紋解析からして、エルドリア帝国帆船2隻とクレカ公国船籍輸送船のリビアです!」

「艦長、どうしますか?」

「エルドリア帝国は俺たちの敵だ。勿論もちろん撃沈げきちんという慈悲じひを与えろ。副艦長!」

「はい!対水上戦闘、用意!特殊魚雷を艦首にある特殊発射管より緊急発射スナップ・ショット!!」

「装填完了、発射!」

 特殊魚雷発射管から航跡を引いて飛び出した魔導機関式魚雷2本が2隻のエルドリア帝国帆船に向かって誘導された様に向かって行き、潜望鏡越しに2本の水柱と2隻の轟沈ごうちんを確認した。

「エルドリア帝国帆船、轟沈確認」


 午後15時05分。

 クレカ公国船籍輸送船リビアに横付けして被害状況を視察した。

 浸水無し、火災1ヶ所、舵損傷、機関不調などという被害を確認した後、アレス級攻撃型潜水艦の常務乗員全員で応急修理をすることになった。

「へぇ〜、君たちが例の」

「アレス級攻撃型潜水艦艦長のメルストリアだ、左がーー」

「副艦長のティターニャです」

「あ、申し遅れました。輸送船リビアの艦長でありますノルワントゥンと申します。此度は、助けていただきまして有難う御座います!」

 帽子を取り深く頭を下げて感謝を言っていたノルワントゥンに対して、メルストリアは自身の名刺を取り出し「今後とも宜しく頼みます、交易窓口にてこの名刺を出してください。多分、力になりますよ」と笑顔で答えた。

 ティターニャはメルストリアの名刺を見たことが無い。いや、下手をすれば乗員全員見ていないかもしれない。


 午後15時30分。

 25分程で応急処置を済ませて、護衛ということで港湾都市クレセールの近海まで護衛して輸送船リビアと分かれた。

「潜航、深度150メートルに」

「メインタンク注水、現在深度10」

 アレス級攻撃型潜水艦は輸送船リビアの乗員に見送られながら暗く深い深海へとと戻って行った。

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