第4話 どんな時でも楽しみは必要
無事に手術を終えた僕はICU、いわゆる集中治療室にはいりました。
そこは普通の病室とそれほどかわらない部屋でした。
ただ、看護士さんが一日中その部屋か近くにいるという状況でした。
万が一術後に体調が悪化してもすぐに対応できるようです。
そこではもちろん食事はでません。
一日中寝ているのは正直暇です。
たしかに体調はすごぶる悪く、寝ているのもつらい状態です。
でも暇は暇でした。
ただただ時間が過ぎるのをじっと待つだけです。
あの一日は本当に長かったですね。
何度時計を見ても時間は、それほど過ぎていないのです。
そうしてやっとそのICUを出るとあとは体につながったチューブが体の中の膿をすべて吸いとるのを待つだけです。
それも一日二日ですみません。
だいたい二週間ぐらいかかったと思います。
体にチューブがつながって機械をひきずる生活は不便きわまりないです。
トイレに行くのも一苦労です。
ちょと動くのにもいちいち電源のコードを気にしなくてはいけません。
それに寝返りもうてません。
そして一番いやだったのがお風呂に入れないことです。
看護士さんが用意してくれた濡れタオルで体をふくぐらい。
夏場にこれはつらい。
週に一回看護助手さんが頭を洗ってくれました。
普通にシャワーを浴びれるようになって感動したものです。
そんな不便な生活のなかでも楽しみがいくつかありました。
その一つが食事です。
よく病院の食事はまずい、といいますが、僕が入院した病院はそこそこ美味しかったです。ただレストランのように食事の美味しさを売りにしているわけではないので、限界はあると思います。
病院の食事は栄養のことも考えないといけないので仕方ないですね。
ただ、コロナ禍のため面会はないので食事は常に病室で一人でした。
食事はそこそこ美味しいのですが、味気なかったなというのが正直な感想です。
もう一つはリハビリの時間です。
だいたい朝の九時ぐらいに女性のリハビリの先生があらわれて軽い運動をします。手術で落ちに落ちまくった体力と筋肉をつけるためです。
しかし、これもコロナのせいで運動できるスペースがかぎらていました。
フロア内をウォーキングするのと病室でストレッチするぐらい。
コロナの影響はいたるところに潜んでいます。
フロアをでれないため、売店に行くこともできません。
きまった時間にくるワゴンで買い物をするぐらいです。
それにテレビもコロナの話題ばかりで面白くありません。
朝の運動はいい気分転換になりましたね。
リハビリの先生との世間話も機械がつながっている痛さを少しだけ忘れさせてくれました。
日にちが過ぎて体調が安定してくると急に入院生活は時間をもてあましてきます。
朝のリハビリの運動と定期的な検査を終えると食事の時間まで暇になります。
テレビはやはりコロナばかりで気が滅入り、面白くありません。
そんな僕をすくったのはNetflixとAmazonprimeです。
僕はあまった時間で海外ドラマやアニメをずっと見ていました。
銀河英雄伝説は昔のほうのですが全部見ました。石黒版ですね。
主人公の一人で魔術師の異名を持つヤン・ウエンリーが死ぬところは一人泣きましたね。
あと海外ドラマではまったのがARROWとFlashです。
この二つのドラマは世界観が共通するのですね。
今でもこのドラマを見返すと入院していたころを思い出します。
どんなにつらい時でも人は楽しみがないと生きていけないのです。
その意味でも創作することは偉大だなと思いました。
あとこの入院生活で久々にラジオを聞きました。
青春ラジメニアという関西ローカルのアニソンを主にかけている番組です。
久しぶりに聞いたかおりんと岩ちゃんの声に元気をもらいました。
あらためてラジオというものもいいものだと思いましたね。
エンタメというのは人間にとって欠かせないものなのです。
不安をあおるだけのニュースやワイドショーは個人的には必要ないと思いましたね。とくに体調のわるい人間にとって気がめいる話題はシャットダウンしたほうがいいですね。
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