女子高生、投資で稼ぐ

第3株 投資信託とかインデックス投資ってなに？

「次は何を買えばいいかを説明するね」

「わくわく」

「eMAXIS Slim 米国株式(s&p500)か楽天全米株式インデックス・ファンドかeMAXIS Slim 全世界株式（オール・カントリー）かな、楽天証券ならとりあえずは」

「……は？」

「SBI証券ならSBI・V・S&P500インデックス・ファンドかSBI・V・全米株式インデックス・ファンドかSBI・全世界株式インデックス・ファンド（愛称：雪だるま（全世界株式））かなー」

「……なんて？」

「え？　だから買うならeMAXIS Slim 米国株式(s&p500)か楽天全米株式インデックスファンドかeMAXIS Slim 全世界株式（オール・カントｔ……」

「いや長い！　何言ってんの呪文？　いーまく……？　ってか株って会社名で売ってるんじゃないの？　アップルぅーとかトヨタぁーとか赤ちゃんとママ社ぁーとか」

「なぜ最後なかなかマイナーな出版社出した。あーごめんごめん。私が言ったの個別株じゃなくて投資信託なんだよね」

「とーししん……あ、家庭科でやったやつ！　それが何なのかは知らんけど」

「投資信託、略して投信。簡単に言うと『株の詰め合わせパック』だね。アップルとかトヨタとか赤ちゃんとママ社の株が牛肉とかお米とかクレソンだとすると投資信託はそれらの食材が少しづつ入ったお弁当、みたいな」

「美咲の中で赤ちゃんとママ社はクレソン的な立ち位置なのね」

「うん。いい感じにマイナーな食材かなと。知らんけど」

「えっと、つまり……投資信託を買うと色んな会社の株を少しづつ買える、ってこと？」

「おお。そうそうその通り。冴えてるじゃん葵」

「まぁよ。これでも投資家ですから」

「調子乗ってんなー。で、投資信託の何がいいかって分散投資できることなのね」

「あー、一度にたくさんの株買えるから分散で投資してるってこと？」

「そそ。何で分散するのがいいかっていうと、例えば１万円でアップルの株だけ買ってもしアップルが倒産したらその1万円はパーでしょ？」

「うむ」

「でも1万円でアップルとトヨタと赤ちゃんとママ社を3,333円ずつ買ってたらアップルだけ潰れてもまだトヨタと赤ママは生きてるから6,666円は残るでしょ？」

「うむうむ。いや赤ママて」

「これを何百、何千社に分散投資してたら１社潰れたくらいじゃ痛くも痒くもないでしょ？」

「うむうむうむ」

「つまり分散をすればするほどリスクを減らせるのよ。で、その分散投資を最初からやっておいてくれてる金融商品が『投資信託』ってわけ」

「なる！　だからそれさえ買っちゃえば分散投資は自分でやらなくても勝手にやってくれると！　……そゆこと？」

「そゆこと。何かマジで急に冴えてきたよね葵」

「まぁよ」

「その顔ムカつくからやめろ」

「じゃあさっきのいーまく……なんとかも最初から分散投資されてる株の詰め合わせパックなんだね」

「eMAXIS Slim 米国株式(s&p500)か楽天全米株式インデックス・ファンドかeMAXIS Slim 全世界株式（オール・カントリー）」

「わぁ呪文」

「あんたがよくやるスタバの注文よりマシでしょ」

「あー、グランデアドショットヘーゼルナッツバニラアーモンドキャラメルエキストラホイップキャラメルソースモカソースチョコレートチップチョコレートクリームフラペチーノのこと？」

「絶対そっちの呪文の方が強い。横文字覚えにくいし」

「東洋魔術と西洋魔術の戦いだね。で、そっちの東洋魔術３つはどれが一番強いの？」

「これはもう好みの問題。婚約指輪カルティエかティファニーかMIKIMOTOか、みたいな」

「その例え女子にしかわからんでしょー。ウケるー。……ちなみにハリーウィンストン的な立ち位置のやつないの？」

「あんた、なかなかの女ね」

「まぁよ」

「だからその顔やめろ。褒めてねーし。４℃で心から喜べる女になれ」

「４℃はないわー。即メルカリ行きだわー」

「うわ最低。まぁ結構いるけどねそういう子。とにかく今回は、

　カルティエ　【eMAXIS Slim 米国株式(s&p500)】

　ティファニー【楽天全米株式インデックス・ファンド】

　MIKIMOTO 【eMAXIS Slim 全世界株式（オール・カントリー）】

　の中から選んで。この例えならわかりやすいでしょ？」

「えー、余計迷っちゃーう♡」

「浮かれてんなー、この間彼氏に振られたくせに」

「その話やめて」

「おお怖。じゃあそれぞれ３つの投資信託の中身を説明するけど」

「うん、教えて」

「eMAXIS Slim 米国株式(s&p500)はアメリカの主要500社に分散投資するインデックスファンド」

「あ、これも名前の中にないけどインデックスファンドなんだ。……インデックスファンドって何？」

「インデックスファンドっていうのは指標に連動した投資成績を目指すファンドのこと」

「しひょうにれんどうしたとうしせいせきをめざすふぁんど？」

「簡単に言えば『デートで無難な定番のお店に連れて行くサラリーマンの男』みたいな」

「え？　微妙じゃねそんな男」

「と思うじゃん？　これが結構いい男なのよ」

「そうかなー。『あーここ元彼とも来たところだー』ってなりそ」

「女子あるあるやめろ。逆に指標よりも上の投資成績を目指すファンドをアクティブファンドって言うの。こっちは簡単に言えば『デートで最新トレンドの流行りの高級店に連れて行く青年実業家の男』みたいな」

「え！　そっちの方がいいじゃん！　婚約指輪ハリーウィンストンにしてくれそうだし！」

「あんたどんだけハリーウィンストンの指輪欲しいのよ。ただしアクティブファンドの男、たまに割り勘にしてくるからね。しかも収入は不安定」

「うわ最悪。デートで割り勘にする男とか死んでほしい」

「あんた３話にして男性読者からの好感度ダダ下がりよ。ちなみにインデックスファンドの男は必ず奢ってくれるし、収入も安定してるよ」

「んー。ならしゃーなしそっちの男にしようかな」

「何様。まぁこれがつまりどういうことかというと、投資信託って投資先を決めてもらうからその分の手数料を払わなくちゃいけないんだけど、アクティブファンドは色々手が込んでるから手数料が高いのよ。対してインデックスファンドは平均点とればいいだけだから手がかからず激安」

「なる！　これが割り勘があるかないかの違いね！」

「運用成績の面でもアクティブファンドはインデックスファンドに一時的には成績が上回ったりするけど、長期的に見ると常に平均点取り続けてるインデックスファンドにはほとんど勝てないのよ」

「なる！　これが収入が不安定な青年実業家と安定してるサラリーマンの違いね！」

「そそ。アクティブ投資が必ずしもダメってわけじゃないから彼氏にするならアクティブ投資もいいけど、やっぱ結婚するならインデックス投資よ」

「恋愛と結婚は違うもんねー」

「ちなみにみんなが知ってるような大手の会社が出してる投資信託でもほとんど詐欺みたいなやつ平気で売ってるから、もし他のを購入する場合は気を付けてね」

「怖っ！　大企業勤めててもめっちゃ遊んでる男みたいな？」

「そう。証券会社の窓口ではそういうの売りつけられるから絶対行っちゃダメ。同じ理由でほけんの窓口も絶対行っちゃダメ」

「ほけんの窓口♪　ってあんなにCMやってるのに！？」

「あそこはカモが行くところだから。家族が行こうとしてたら絶対に止めてね。保険の話もまたどっかでできたらしようか」

「あたし保険とか全然わからないけど、騙されないようにはしておきたい！」

「そうね。で、話を戻すとeMAXIS Slim 米国株式(s&p500)はアメリカの主要500社に分散投資するインデックスファンド。つまりアメリカの主要500社の平均値を目指すファンドなわけ」

「うむ」

「楽天全米株式インデックス・ファンドはアメリカ全体に分散投資するインデックスファンド。つまりアメリカ全体の会社の平均値を目指すファンド」

「うむうむ。範囲広がった」

「eMAXIS Slim 全世界株式（オール・カントリー）は世界中に分散投資するインデックスファンド。つまりアメリカだけじゃなく世界中の会社の平均値を目指すファンド」

「うむうむうむ。範囲がめっちゃ広がった……！」

「この３つは他の投資信託と比べても断トツで手数料が安い上に運用成績もずっと右肩上がり。やっぱアメリカは強いのよ。株式市場の環境も他の国では追いつかないくらい整備されてるし。成績だけでいうと若干だけどs&p500が一番いいね」

「ふーん。じゃあカルティエかなぁ」

「その例えまだ使うんだ。でももしアメリカが落ちぶれたらMIKIMOTOが有利かもよ？　ほら今中国が迫ってきてるし、MIKIMOTOには中国の会社も入ってるし。とはいってもMIKIMOTOの6割はアメリカの会社だし、必ずしもそうなるかはわからないけど」

「へー！　じゃあMIKIMOTOかな。世界をまたにかける男、あたしの男に相応しい」

「何様パート2。じゃあ全世界株買おうか。まぁ別に全部買ってみてもいいけどね」

「え！　やだなにそれハーレムじゃん！　いやいやいや！　あたしは一途なの！　一人の男を愛するの！　えーっと、どうやって買うの？　そもそもいくらこの男？」

「いや言い方よ。ホストとかハマんないでよお願いだから。じゃあ次は運用方法について教えるね」

★今日のまとめ

・投資信託とは『株の詰め合わせパック』である（個別株が具材なら投信はお弁当！）

・投信のように分散投資をするとリスクを減らせる

・楽天証券ならeMAXIS Slim 米国株式(s&p500)、楽天全米株式インデックス・ファンド、eMAXIS Slim 全世界株式（オール・カントリー）

・SBI証券ならSBI・V・S&P500インデックス・ファンド、SBI・V・全米株式インデックス・ファンド、SBI・全世界株式インデックス・ファンド（愛称：雪だるま（全世界株式））

※　楽天でもSBIでも名前違うだけでそれぞれ中身は同じものだと思って大丈夫！

・アクティブファンドは手数料が高く、インデックスファンドは手数料が安い

・長期的に見るとアクティブ投資は運用成績でインデックス投資にほぼ勝てない

・大手の会社が出してる投資信託でもほとんど詐欺みたいな商品が平気で売ってるので、もし他の投信を購入する場合は気を付けよう