第26話 結婚式とパーティー
結婚式当日、郊外に造られた特設会場、屋根のないコンサート会場の様な見た目の会場の収容人員9000万人というのだからとてつもなく大きい、途中から人が豆粒のようになっている。
ここにいる一般の国民はとてつもない抽選倍率のチケットを手に入れた幸運な人たちである。
そもそも途中から私たちが直に見えてるのか?と思ってしまうが、その場に一緒に居れるだけでもという感覚なのだろう。
式の模様はヤマト連合の全星系に多少の時差は生じるがほぼリアルタイムで放送される。
私の服装は最初はシンプルなモーニングのような服、次が宝石などをちりばめたちょっと派手な服、最後は軍服と変わる。
なぜ結婚式なのに軍服になるのかは不明である。
エキュは最初は白いドレスから、ピンク、水色、赤、そして最後に白に変わる、しかもどれもデザインが違うという力の入れようである。
ステージ裏の控室で待機している私は緊張して掌が汗をかいて喉も乾きまくりである。
「シンセイ、似合ってるじゃないか、盛大な式になっただろ」
「盛大すぎる気もするけどな」
「まあ緊張して躓いてこけるなよ」
「緊張なんてしてねえよ」
レイカはそれだけ言うと手を振りながら出て行った。
すると緊張していた気持ちが落ち着いていた、あいつにあとで礼でも言っとくか。
司会役のテイルが開始の宣言をする声が聞こえてきた、その直後地震か?と思う位の歓声と地響きが聞こえてきた、さすが9000万人の観客すごいな。
アリスに呼ばれて舞台に向かう、私が姿を現すと静かだった会場がまた揺れる。
そして観客席に手を振りながら舞台中央に用意してある椅子に着く。
椅子に付いたらテイルが次は新婦の入場です、と言うと私が上がってきたのと逆側からエキュが上がってくる。
先ほどよりも大きな歓声が上がり、会場が壊れんばかりの震えが起こる。
エキュが席に着くと、私たちの前や上空、そして客席のあちこちにモニターが現れる、そしてヤマトの歴史のドキュメンタリーチックな映像が流れ始める。
ヤマトの歴史が終わるとエキュはお色直しで舞台から下がる、その間はテイルと雑談っぽい会話をして繋ぐ。
そしてエキュが戻ってくるとまた大歓声と振動が起こる。
今度はケーノの歴史の映像が流れる、それを見ていた一部の人が「金持ちは身勝手だ」とか「うちの代表を見習え」とかヤジを飛ばしたり、「エキュ様もう大丈夫だよ」とか「こんな奴らが来たら代表たちが黙ってないぞ」と励ますような言葉も聞こえてきていた。
それを聞いていたエキュは目を潤ませていた。
映像が終わると二人でお色直しという事で舞台から下がり、会場も休憩に入る。
式が再開されて私たちが戻ると次はなぜかエキュの成長記録映像だった、顔を真っ赤にしてうつむくエキュにかわいいとか声が聞こえてくる、ふだんからエキュはかわいいんだよと思いながら笑顔になる。
エキュの3回目のお色直しをしたら今度は私の戦闘記録の映像が流れる、敵の撃破シーンが流れるたびに歓声が上がる、そのたびに会場が揺れる。
映像が終わると最後のお色直しとして二人が下がり休憩に入る。
2人が舞台に戻ると、椅子は取り払われていて中央に牧師役のテイルが立っていた、テイルの前に二人で立ち、結婚の誓いを宣誓していく。
最後に口づけを、と言われ向き合いエキュを見ると顔を赤くしたエキュが私をまっすぐ見ていた。
口づけをすると祝福の声や歓声が上がる、
すると上空を白猫艦隊の艦艇が客席側から舞台方向に通過する、その直後に艦載機が舞台側から客席方面に色とりどりなスモークを出しながら通過していく。
客席も興奮して大歓声をあげる。
「これ俺聞いてないぞ、」
とテイルの方を振り向くとサムズアップしてやったぜという顔をしていた。
その為の軍服だったのかと、今になって気づき舞台袖を見ると、笑いながらサムズアップしているレイカやアリス達の姿も見えた。
サプライズなんてこいつらやるじゃないか。
式も終わり着替えも終わって控室でレイカとテイルにサプライズの事、開始前に緊張といてくれたこと、そして盛大な式にしてくれたこと、順番にお礼を言っていく。
「何言ってんだシンセイの式だからな、もっと盛大でもよかったんだ、もっと時間あればもっと盛大にできたんだぜ」
「最後の艦隊はネメシスたちAIから二人へのお祝いだそうだ、俺らは少しだけ手伝っただけだ」
「そっか皆に感謝だな」
ちなみに軍の隊員はすべてが会場警備や星系周辺警備をしていて、会場の上空に現れた艦隊と艦載機は完全無人でネメシスたちAIが完全制御をして飛行していたらしい。
その直後着替えが終わったエキュが入ってくる。
それを見たテイルたちは皆「あとはごゆっくり」と言い残し去っていく。
「私たち結婚したのですね、まだ夢の中にいるみたいです」
というのでエキュの手を引き抱きしめると頭をなでて、
「夢じゃないよ、これからよろしくな。」
というと目を潤ませてこちらを見てくるので、そのままキスをしてまた抱きしめる。
式が終わり1週間経って、次はケーノでパーティーだ!!と要人達と出発する。
今回は白猫艦隊だけの移動なので、レイカやテイルもネメシスに乗って移動している。
何事もなくケーノに着くと予想通り宇宙港と周辺は大混雑である。
軍が人員整理をして何とか通れる道を作り、私たちはそこを通り車に乗り込む。
ゲートを出て車に乗るまで3時間もかかった。
そして車を出しても所々で人だかりがあり屋敷に着いたのは到着してから10時間後であった。
「つかれた~エキュは大人気だな」
「シンセイ様おつかれさまです、何か飲まれますか?」
「うーん、様はもう要らないんじゃないか?俺たち結婚してるわけだし」
「えーと、それじゃシンセイ……さん」
「それでもいいか。」
部屋でソファーに転げる私の横にエキュが座りイチャイチャする。
翌日街の外に舞台だけ作った会場で宰相の話と乾杯の音頭でパーティーが始まる。
最初は各種族の代表がお祝いの言葉を言いに来るので対応して握手して、気づけばそれだけで半日が過ぎた。
それからは舞台前でみんなで踊れや歌えの大騒ぎである。
「ある意味楽しいパーティーだ」
私の言葉にエキュは、これがケーノのお祝いのパーティーなのです、と言う。
時には三日三晩騒ぐこともあるのだとか、それはすごいと感心していると、エキュが私の手を取り踊りの輪に誘っていく。
踊りと言っても、輪になって各自好きなようにはしゃいでるだけなのだが、それがまた楽しい。
とにかくケーノのお祭りは自由だ、踊りたかったら輪に入って、疲れたら輪から離れて、おなかすいたら料理が用意してある場所で色々食べて、飲み物も飲んで、また騒ぎまくる。
レイカは力自慢相手に腕相撲してるし、テイルはルキュとあちこち回ってるようだし、他にもヤマトから呼んだ来賓も飲み比べや、ケーノの人たちと語り合っていたりと、自由に楽しんでいるようだった。
丸1日騒いで疲れたのでエキュと屋敷に帰って休む、そして10時間くらい寝て目が覚めても、まだパーティーは続いていた。
当事者不在でも続くパーティー、恐るべしケーノの伝統的な祭り。
会場に着くと今度は囲まれて胴上げされる……もう2日も騒いでるのに勢いが収まらないこのパワーすごいな。
だが私も負けるかと会場を走り回り楽しむ。
そして過去最長なのではないかと言われる6日間のパーティーが終わる。
「いやー楽しんだわ、国民のお祭りにかける意気込みやパワーすごかったな。」
「そうですね、最近は皆さんに無理を強いてきたから、楽しく騒いでるのを見れてうれしかったです。
これからケーノを発展させて連合員の名に恥じない国にしていきます。」
「そのための支援は任せろ。」
エキュとこれからのヤマト連合やケーノをどう発展させるかという話をずっとしていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます