領地拡大

第20話 大規模軍備拡大


テイルの第二星系ビショップ資源衛星の開発が軌道に乗ったころ、第二次軍備拡大計画を出す。

今回は千五百隻の増強で、今回はすべてアルトメイト社の最新鋭艦で揃える。

アルトメイト社営業のリリーが持ち込んだ話に私がノリノリに即決したのである。


「シンセイさん今日は大ニュース持ってきましたよ、実はわが社が開発製造する駆逐艦と巡洋艦の最新鋭艦がですね、完全モデルチェンジするんですよ!!」

「な・ん・だ・と・。スペックカタログと画像はあるのか?」

「まあ、なんと!シンセイさんのためにこちらにご用意させていただいてございます!!」


などという怪しいキャッチか通販につかまるかの如くノリノリに話を聞いた結果、

見た目は今までも直線的だったのが、より直線的でシャープな『ザ・宇宙艦』という感じのフォルムで洗礼されていて、性能もカタログスペックでは今売っているモデルより向上したという。



「実は開発研究陣が結構前にシンセイさんが語った宇宙戦艦に刺激を受けまして、開発したモデルなんですよ。」

「ほうあの時のロマンあふれる会話に触発されたという事か。」


あの時とは、ヤマトの宇宙港完成パーティーの時である。

さすがにあの時は知り合いも少なく、招待客がリリーとシャボール商会の面々だけじゃ味気なかったので、リリーに頼んだところ艦船の開発陣を連れてきたという。

開発陣と『宇宙戦艦とはこうあるべきである』という議論で白熱したっけな。


「話の分かるロマンあふれる連中だったな、俺もあの時は熱くなっちゃったよ」

「それでですね、本社のほうからもヤマトさんに、今回だけ利益度外視での割引を確約してきました~ぱちぱちぱち~」

「え?まじか?じゃあ頼む」


といういきさつである。あの時の私チョロかったぜ!


ということで巡洋艦六百隻・駆逐艦九百隻注文しちゃいました、テヘペロ!

どっちにしろ増強する気ではいたのでいいかな。

白猫隊・白鷹隊・ペンギン隊に回し、各隊五百隻の特別隊になる。

そして第一艦隊に八百隻、新設する後方支援隊(輸送隊)に二百隻に補給艦と輸送艦合わせて五百隻、

の総勢二千隻という大艦隊になるのである。

『大艦隊はロマンである、だって男の子だもん。Byシンセイ』


白鷹隊は男性隊員と一部女性隊員、ペンギン隊は女性隊員に大人気、白猫隊は……、いいもん、白猫隊はシンセイチルドレンが居るもん。


シンセイチルドレンとは、海賊から助けた子供20人やヤマトの周辺で発生した孤児たちを引き取り自宅で育て教育をし、優秀な部下を作ろう!

という計画を立てて、育てている子供たちの愛称である。

まぁ、いわゆる光源氏計画?


子供たちの最年長組が今年軍学校に入学して、好成績をたたき出しているという報告を受けている。

当たり前だよな入学前からレイカや私、それにバッチ持ちのエリートが個別指導していたんだし……。

ん?贔屓だって?私を慕うかわいい子供たちだ、他と区別するのは当たり前だろ。


とは言いつつも、ヤマト国民の待遇もいいとは思うのだが。


まずは教育、15年の義務教育とした学校、その後の進路として大学は6年、軍学校は3年、

各学校年三回の入学試験の他、編入試験は随時行っているので移民達でも能力や学力さえあれば大学や軍学校に通える、学力がなくても年を取っていようとも5歳以上でヤマトに籍を置く者なら義務教育学校に編入することもできるようにしている。

しかも各学校完全入寮制で寮費・学費・食費(朝昼晩の学食)はヤマトが負担なので無料と至れり尽くせり。

ただそれ以外で個人的に贅沢したい奴は個人負担なのだが。そこまで面倒見れません!!


医療は基本個人負担は無し、ただし何も問題ないのに頻繁に来るなど、悪質で医師たちの負担になるような場合過去にさかのぼり全額請求される。お仕事の邪魔するやつは月に変わってお仕置きです。

そして一年に一回の国民無料健康診断。


他にも公共交通機関無料、宇宙港への移動は最速お届けのシャトルは有料だが多少時間はかかるがエレベーターは無料、

食材は国が建てたプラントで大量生産なので政府の直営店であれば格安。

日用品など個人のものはシャボール商会で売っているので残念ながら自己負担ではある。

それから給金も他星系よりも良いらしい(ネメシスたちにほぼ丸投げだからぼく分かんない)


などなどとっても高待遇にしている。

そしてヤマトでは大量のMG-800シリーズを導入しており、公共施設や役所で働き見た目も良いので「アリスシスターズ・セバスブラザーズ」と呼ばれとっても人気である。(レイカの副官のユウの名前が出ないのはユウはアリスたちと同型でアリスシスターズの一員だと思われている。実際ユウはあまり人前に出て無いから知らない人の方が多い)

軍でも基地や艦船の食堂などに必ず配置して栄養管理を任せていたりするのでとても重宝されている。


星系の開発も進んだ。

人口も第一・第二星系合わせたらもうすぐ1億人というくらいまで膨れている。

移民窓口になってもらってるシャボール曰く噂が噂を呼び移民希望者が殺到していて処理が追い付かないという。



「そろそろ動くか」


軍備増強とヤマトの現状を確認した私はひとり呟く。

そこへ訓練(という名の宙賊狩り)から帰ってきたレイカが部屋に入ってくる。


「シンセイ、聞いてるか?あのおっさん同盟があの宙賊と結託していた。」

「ああ、ネメシスから聞いて確認してもらってる。」

「あいつら、舐めた真似してくれるぜ。」

「勝手に先走るなよ、まだ新艦隊になってないんだからな。」

「わかってらぁ、だからこうしてここに来てんだろ。」


怒り収まらずといったレイカをなだめていく。

話はこうだ、私たち(レイカ)が先日壊滅させた宙賊幹部の自白により分かった子分たちの隠れ家を虱潰しにしていた、

その一つの隠れ家に突入した時、先日来たおっさんの同盟の一つの国の幹部が部屋で豪遊していた。

そしてつかまえたが詳しい事を話さない、まだ正式な公表も同盟へ連絡もしていないのに同盟からつかまえ捕虜にした直後に


「潜入作戦中の者だから身柄を返してほしい」


と言ってきた。

さすがに怪しいのでまだ返す返答はせず裏取りをしていた、といった状況である。


「ネメシス、何か分かったか?」

「拘束した者はデータベースで調べましたがオーリ国の宰相だと思われます。」

「ほう、おっさんの同盟国のオーリの宰相がみずから潜入作戦ね……」

「ここまで分かってんならやっちまおうぜ」

「ああ、レイカはちょっと静かにしててくれないかな、行くときは真っ先に教えるからさ」


レイカをなだめながらどうするか考えていた。

他にも、最初の時、ヤマトを宙賊と同盟国の軍で攻め潰そうとしていたのも賊の自白で分かっている。

この結果から正直こいつらは潰してもいいよね、とシンセイは思っていたのだが、今の戦力で行くと時間がかかってしまう上、途中再編成等で帰ってこないといけなくなる。

それはめんどくさいと考えながらも、これ以上はやる気満々のレイカも抑えられないという現状もあった。

そこへアリスからの提案である。


「シンセイ様、先日の宙賊退治の報酬、まだ頂いておりませんでしたよね、

 受領しに行きませんか、『ヤマトの代表みずから主力艦隊を率いて』ねっ!」

「ん…?なるほど…!そうだな、それは言い考えだ、同盟各国に報酬を受け取りに行くか。

 そうと決まれば、テイルにも連絡、各惑星百隻のこして出撃準備だ。」

「その言葉待ってたぜ。」


アリスの提案に私が自ら同盟の各国に報酬の受領に行くことになった。

最近のアリスたちはちょっと中身黒くなってきてないかな、誰の影響なんだろ、などと考えながら出撃準備を進めるのであった。





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