第16話 レイカとテイル
【レイカ視点】
「賊狩りしてたらシンセイから「戻れ緊急だ」なんて連絡が来るもんだから、
てっきりヤマトに敵が来やがったと思ったが。
帰ってすぐシンセイから見せられた通信文見て、つい出てきちまったぜ。
あいつ怒ってねぇかな?」
「レイカはもうちょっと行動は落ち着いたほうがいいかと、
それにシンセイ様からの通信ではあきれている様子でしたが、怒ってはおりませんでした。」
「うっせえよ、てめえまで説教すんじゃねえよ。
まあ怒ってなかったならいいわ、シンセイは…というかやつの周辺のやつらはみんな怒らせると怖えからな。」
「シンセイ様から伝言預かっています、無理やり連れてくるようなことや手荒なことはしないように、との事です。」
「お、おう、わかってらあ」
今レイカは自分の艦隊でワープのできる宙域に向かう途中である。
通信文の送り先テイルの元へ向かうためだ。
ゲーム内でレイカはテイルを兄のように慕っていた。
そんな人から通信文が来た、この世界にいる、それが分かったら居ても立ってもいられなくてついシンセイの静止すら無視して出てきてしまった。
一緒にマナーの悪いプレイヤーを追い込んだりしていた頃を懐かしく感じていた。
二回目のワープが終わった時、目の前に一つの星系が見えてきた。
レイカはそのまま近づこうとしていたが、リンにまずは通信文にてヤマトの使者としてきたことを伝えないと敵対行為になるかもしれない、と言われたので任せる。
すると向こうから通信が来た。
「兄貴か?あたいだレイカだよ」
「おまえ本当にレイカか?若くなったな」
「おうよナノ何とかってやつのおかげで若返って長生きになったんだ。」
「なんじゃそりゃ?」
通信しながらお互い笑う。
そして惑星の降下許可をもらい指定された場所にリンだけで降下する。
残りの艦隊はあまり刺激しないようにと、少し離れた宙域に待機の指示を出す。
地表に着くとリンのブリッジから惑星を見渡すがあまり発展してない感じだった。
そしてプラント艦が横づけしてきてテイルがリンに乗り込んでくる。
そのままブリッジに案内する。
「戦闘艦はいいな、やっぱかっこいいじゃないか。」
「まあな、リンは巡洋艦を空母に改造してるんだ、かっこいいだろ。」
「ほう、レイカらしい改造だな。」
テイルはブリッジに入るなりリンの話を振ってくる。
それから懐かしむように思い出話をしだすと、リンからここじゃなくて部屋で話すようにと言われ、テイルを自室に案内する。
「そんで兄貴はどうすんだ?」
「どうするって?」
「あたいは惑星をシンセイの星系に持ってって開発任せてんだ、それで兄貴はどうするかってな」
「ん?惑星持っていけるのか?」
「おう転送装置?とかいうやつでもってけるぞ」
そんな会話をするとテイルは顎に手を当てて少し考え出した。
そして答えてきた、
「俺の星はここに置いとく、そっちの方が宙域確保できて領地広がるだろ。」
「そうなのか?領地?」
「あー、GGOでもあったろ?星系制圧して配下に入れたら、連合の領地広がったろ?あんな感じだ」
「おぉなるほどな、さすが兄貴だ、考えてんな」
「レイカが何も考えてないだけじゃないか?」
「うっせえわ、あたいはそういうの苦手なだけだ」
そういうとテイルは笑っていた。
それから細かい話し合いをリンに任せる、テイルとこの惑星はどの程度開発しているか、必要なものはあるか等話し合いながら、ネメシス経由で本星にいるシンセイに情報を送っていた。
テイルのプラント艦AIの名前は『ルーク』で星の名前は『ビショップ』と言っていた。
リンとルークのリンクが終わるとリン経由でネメシスともリンクをしてテイルの星系ビショップのヤマト編入の手続きに入った。
その際シンセイから書類が送られてきて、それにテイルがサインをしてまた送り返す。
後はシンセイ側のヤマト本星でやるとのこと。
「あたいの駆逐艦十隻と補給艦1隻を置いてくから自由に使ってくれ。」
「勝手にいいのか?」
「おうよ、あたいの艦隊でシンセイから自由にしていいって言われてんだ。」
「あいかわらずだな、じゃあ使わせてもらうぜ。」
レイカは駆逐艦十隻と補給艦一隻を呼び出し地上に降下させると、各艦艦長に
「テイルはあたいの兄貴分だ、この星の開発手伝ってやってくれ。」
と伝える。
艦長たちはレイカの言葉に顔色一つ変えず敬礼をして通信を閉じた
「じゃああたいは帰るわ、兄貴も元気でな、今度ヤマトにこいよな。」
「あぁ、ありがとな、」
そういうとテイルはプラント艦に帰っていく、プラント艦の離脱を確認するとリンも浮上し始める。
【シンセイ視点】
「これで三人か、探せばまだまだ居そうだな」
レイカがビショップの宙域から離脱、帰還の途に就いたとの報告を受けてそうつぶやく。
正式な編入はもうしばらく先だが、リンから送られてきた欲しい資材などのリストを元に確保のためにアリスに発注や手配をお願いする。
それと同時に国民にビショップの編入を通達し、開発のための移住を募集する。
データを見る限りビショップはまだ1万人に満たない規模だが資材を送れば一気に開発が進むだろう、そうなると今度は人手が必要になる。
「やっぱレイカの時のようにこちらの世界に来るタイミングに時差が有るのか、
となると俺より前に来てるやつが居る可能性もあるのか。」
データを確認しながらそんなことをつぶやく
もっと大きくして仲間集めたいな、そう思いながら今後の事を考えていると、テイルから通信が来る。
今度こっちに来るからよろしく、という内容だった。
通信文を見て会えるのが楽しみで顔がほころぶシンセイだった、それ見てアリスも微笑んでいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます