第13話 惑星引っ越し


レイカが来てから一か月がたった、レイカの星系の移動用の惑星転送装置も手に入れた。

これが高性能な最新式らしく衛星も同時に持ってこれると言うではないか。

計画では軍を3つに分けて惑星と衛星を各隊で持ってくる予定だったのだが、分けないで行ける。


ただワープを使うと言っても往路は身軽なので3日、復路は惑星も一緒なので6日程かかることになる。

新惑星の発表した後、新惑星が来たら、そちらを開発したい住みたいと陳情してくる国民が結構いたのにはびっくりした。

持って来ても開始まで半年くらいかかるのだけど、それまでにMG-800が選別してくれると言うので。丸投げである。

丸投げ簡単で便利・・・やばいレイカの事言えなくなってきた。



出発式を終えてネメシスとリンが浮上すると約二十機の戦闘機が旋回しながら、『レイカさん健闘を祈る』とメッセージを送ってきた。

レイカ大人気だな、最初はめっちゃしごかれてげっそりしてたのに、次第に実力が上がっていくのが実感すると、

逆に頼られて今じゃシミュレーター指導の順番待ちまで出てるらしい。

そしてナノマシンのアンチエイジング効果で若返って、元々身長低かった(140㎝位)のもあり見た目は美少女になってしまったからな。

そして見た目と言動と性格のギャップが良いとかで、ファンクラブまでできてるとか噂まであるくらいだ。

私もレイカの性格は嫌いじゃない。

まあ、今その本人は私の隣で涎垂らしながら寝てるんですけどね……、何で自分の船に乗ってないのか?っていうのはレイカだし……って事で片づけてしまった


「ヤマト新惑星に向けて出発」


軌道上に上がって準備ができたので号令をかけると、ネメシスはゆっくり進みだした。

目指すは新惑星。




「それにしても暇だな」


出発してから2日目、宇宙空間のど真ん中?を航行中。

ずっと連続でワープが使えないため、クールダウン中はのんびり進むしかないのだ。

そして見渡す限り真っ暗な宇宙、どこ見ても星空。

最初は見ていても楽しかったのだが、さすがに飽きてくるってもんだ。

レイカは初日に飽きたのかトレーニングルームと食堂の往復しかしなくなったし…


「代表、次のワープで目的地の手前に到着です。我慢してください」


ブリッジで警戒している部下に慰められてしまった。


「次のワープまで休むから、何かあったら呼んでくれ」

「わかりました、ごゆっくり休んでください。」


そう言うと自室に戻りベットでゴロゴロし目をつぶって仮眠をとることにした。

だがすぐに叩き起こされることになる。

鳴り響くサイレン、モニターには第一種戦闘配備の文字と敵襲ですとの通信文。

急いでブリッジに行くと目の前に巡洋艦が一隻と駆逐艦が数隻。

確認すると宙賊らしく船を明け渡せと通信が来たとのこと。


「あぁ?誰にケンカ売ったか思い知らせてやる。」


仮眠を邪魔された苛立ちと戦闘ができる高揚感で変なテンションになっていた。


「リンはネメシスのバリア範囲後方に移動、移動後バリア展開、戦闘機隊出撃準備終わり次第ネメシス後方で待機」


私の第一声にブリッジ内は慌ただしく動き始める。


「全機配置完了」

「ネメシスは巡洋艦、他艦隊は駆逐艦を攻撃」

「主砲全門照準敵巡洋艦、撃て~」


レーザーの閃光とレールガンの雷光が敵巡洋艦に向かって走っていく。

着弾すると同時に爆散する宙賊の巡洋艦。

その横で艦隊と艦載機隊の攻撃で爆発する宙賊の駆逐艦が見える。


「敵艦船全てレーダーから消えました、撃沈確認です」

「よし、ケンカを売る相手間違えたな。

 被害状況確認、回収できるものは回収」


「ネメシス・リン・他艦隊に被害なし、艦載機隊二機破損ですが帰還可能です、それ以外は無傷で生還。」

「損傷の二機は帰還後即修理に入れ、パイロットにケガはないのか?」

「通信では問題なしです。」

「念のため医務室にぶち込んどけ、どうせ機体は修理ですぐは使えないからな。」

「了解」

「みんな初陣おめでとう。これでお前らも立派な軍人だな」


私の最後の激にブリッジや艦内から笑い声が聞こえてきた。


戦闘はあっけなく終わった

その後しばらく残骸のチェックや使える物の回収で足止めされていたが、

数隻の駆逐艦から装備が無傷で回収できたのはおいしかった。

巡洋艦に関してはオーバーキルすぎてガラクタだらけだった。


「うーんやりすぎたな」


そんなつぶやきにブリッジからまたも笑い声が上がる。


「回収終わったら行くぞ」

「「了解」」


回収を終えて目的地に向けて出発する。

その後は何もなくワープして目的地へ着くと惑星と衛星が見えてきた。


「なかなかいい惑星だな、お得な拾いもんだ」


そこにあったのは氷で覆われた白っぽい惑星だった。


転送装置の使い方は受け取るときに聞いたが、惑星と衛星を範囲に入れた状態で起動させ艦隊にワープ同期させてワープをするだけだと説明された。

一度目のワープで恒星の重力圏から離すと止まったままなのでまたワープを繰り返せばいいらしい。

止まったままなので帰りはワープでしか移動できないため時間がかかってしまうのである。


「起動させて同期確認後、ワープのクールダウンが終わり次第ワープするぞ」


装置を起動させて艦隊とワープ同期させて、ワープで移動する、着いた先では衛星だけが動いている状態で惑星は自転はしているようだが動かなかった。

衛星は惑星の引力の影響受けてるから当たり前か。

その後も問題なく無事に最後のワープを終えた。


「ここからが大変だぞ」


そうこの惑星をヤマト星系恒星の周回軌道にいれないといけないのだ。

ネメシスの計算では戦艦とプラント艦で惑星を押していけるという。


「ネメシスを信じて惑星を押すぞ」


艦の先端部分にバリアを集中させ最大出力で展開すると惑星で逆立ちしたような状態になる。


「さあネメシスやってくれ」


バリアもエンジンも最大出力になる。

そして計算された時間ぴったりにネメシスがエンジンを切る、そして姿勢を戻し地上から軌道上に浮上する。

後はこのまま周回してくれたら完了だ。

モニターに表示された周回軌道を計算した予想コースを寸分たがわず進んでいく惑星。

軌道は元からある惑星の外側を周回するコースである。


「恒星の重力圏に入りました、あとはこのまま問題なければ計算した距離で周回すると思います。」


ネメシスが言うと皆で予想線に寸分たがわず進む惑星の動きをモニターで見ている。


「完全な周回軌道に入るにはあと数日は掛かるかと思われます。」


ネメシスの言葉に一部の人間を休憩に回す。




そして一月後、ネメシスが無事に周回軌道に入った模様と伝えてきた。

後はこのまま放置してしばらく様子見と大気層の作成である。

しかも今回はテラフォーミング機械が二つあるので前回より早いだろうという予想だ。

北極と南極の二か所に設置してあとは本星から観測すればいいので私たちは帰ることにする。


「みんな惑星転送任務完了だ、お疲れ様、本星に帰ったら一週間の休暇だ、ゆっくり休んでくれ。」


本星に向かう艦内で私が言うと歓声が上がった。

さあヤマトはもっと発展するぞ、そう思いながら皆と喜びを分かち合った。





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