第12話 レイカ
レイカが飯を食べてる間に、レイカを送ってきた戦闘機を返して、艦隊は帰還の準備をしていた。
食べ終わるとレイカに私の惑星に戻ると告げ、席に着かせてからワープで戻る。
すると惑星を見た瞬間、興奮しだし「すげえ」しか言わなくなった。
ブリッジ内は、何なんだこいつという雰囲気の中、軍基地に降下していく。
「皆、初任務お疲れ様、今日はゆっくり休んでくれ。」
艦隊の皆に労いの言葉をかけ、まずレイカにナノマシンを注入してから自室(戦艦内)に戻る。
「お前戦艦に住んでるのか?」などという揶揄いも無視して二人で話していく。
レイカが来たのは3日前だそうだ、私はもう10年以上前なんだけど、と伝えると興味なさそうにしていた。
他にも最初居た惑星はどうしたのかという質問にも、あんな何も無いとこ居られるか、とまあレイカらしい答えが返ってきた。
ネメシスがレイカの乗っていたプラント艦のデータから、座標が分かるから行けると言うので今度開発に行こうかと考えていたが、
ネメシスに持ってくるのが良いと言われる。えっ?星持ってこれるの?
衛星や小惑星はブースターを設置すれば持ってこれるそうで、惑星は『惑星転移装置』という物があるらしい。
その間もレイカに色々聞いたが私と同じく、GGOにログインしたと思ったら突然真っ暗になって気づいたらこの世界にいたという事らしい。
ただプラント艦の機能が止まっていたため食料は全滅していたらしい。
まあこれ以上の情報は得られないだろうと、この星の事を話すと、軍学校に興味を示したので、翌日案内する約束をして休むことにした。
レイカはGGO歴は5年と短いが戦闘能力と戦闘時の勘が鋭かった、宙賊RPをしていてシンセイたちの連合にかち合うまでは戦闘では負けなしだった。
シンセイたちにボコられてやり返そうと付きまとってるうちに、戦力差があるにもかかわらず互角の戦いをするようになり、最終的に仲間の一人にスカウトされ面白そうだと言って仲間になった。
そして遊撃隊の隊長として突撃のレイカと恐れられる。
領地は必要最低限しか育てて無く、連合メンバーの一人が代理で育てていた。
それなのにそこそこ大きな艦隊を持っていたのは、周りのプレイヤーを襲い奪っていたからである。
レイカ曰く『作るのめんどくさい、奪えば早いじゃん』だそうだ
俗にいう戦闘狂の脳筋である。
ただ自身が仲間と認めたら何があってもそいつを守り抜き、仲間が襲われたとあれば真っ先に相手をつぶしに行くという、人情味あふれる性格でもある。実際はただ暴れたいだけかもしれないが……。
目が覚めるとそこにはご飯食べているレイカが居た・・・
「お前、部屋用意してやったろ、何でここにいるんだよ」
「一人で食っても味気ないだろ、こいつの飯はおいしいけどな」
「お口に合うようで安心しました、ありがとうございます。」
相変わらずな自分勝手なやつだと思いながら、アリスに私のご飯も用意してもらうように頼む。
「そういえば、乗ってた船にアリスと同じロボ居るんだから、そいつを執事なりメイドにして飯作ってもらえばいいじゃないか。」
「おぉ、その手が有ったか、ってどうやるんだ?」
「右手に腕時計型の端末あるだろ、それで操作するんだよ。」
操作方法を教えると悪戦苦闘しながら操作していたが、反応しないとあきらめ始めた。
飯食ったらレイカの船に行きAIと会話しながら、試したが反応しないらしい。
そこでAIに名前与えたらどうか、という事になりレイカはAIに『リン』と名付けた。
するとロボ管理のウィンドウが出てきたと喜んでいた。
なるほど、これはチュートリアルのように順番にやらないとだめなのかと思いつつ、横では目を輝かせながらレイカが管理画面をいじっていた。
そして女性ロボを呼び、項目で副官があるのに気づき、副官設定で『ユウ』と名付けた。
「レイカ様、これからよろしくお願いします。」
「おうよろしく、それから様はいらねぇよ、レイカで良いぞ」
「畏まりました」
「なんかかてぇんだよな、まあいいか」
登録も終わったので軍学校に連れてけとうるさいので、行くことにする。
軍学校に着いた私たちは門をくぐり校庭を歩くと、朝から運動している候補生が見える。
「おぉ、まじめに走ってるよ、がんばれよ!」
走ってる候補生に激を飛ばしながら校舎に入っていく私たちの前に、前回案内してくれた教官が現れた。
「代表、今日も視察ですか?」
「ああ、今日はレイカが来たいというのでな。」
「こちらがレイカ様ですか。」
「よろしくな」
軽くあいさつするとまたいろいろ案内してくれた。
シミュレータールームに着くとレイカが目の色を変えて、やりたいというので教官にお願いして起動してもらう。
すると次から次へとクリアしていってついには最高評価のSSを出してしまった。
ぬるい簡単すぎると言うので教官が最高難易度設定にしても、最高評価のSSをたたき出して教官の目が点になっていた。
レイカならあり得るな、と思いつつ次に行こうとすると、教官から先ほどの戦闘データを授業で使っていいかと聞かれる。
レイカに聞くと勝手に使えばいいと言うので、了承すると喜んでデータをコピーしていた。
その後前と同じで教室や室内訓練場などを回り、レイカも満足したのか帰ることにした。
帰りの車であのシミュレーターもっと難しくしてもいいと良いだした。
あんまり無茶はするなよ、とだけ言っておいた。
そしてあたいにも戦艦くれよ、と言うので惑星と衛星持ってきたらな、それまでは戦闘機で我慢しろ、と無理やり納得させた。
本音を言うと、レイカにはそこそこ機動力ある艦隊で暴れさせた方がいいんだけど、まだそろえるための予算をねん出していないというのが現状である。
まあブーブー言ってたがレイカは私たち連合メンバーには口では何とでもいうが逆らわないんだよな。
そういうところはかわいいやつだ。
「ところで惑星持ってきたらどうすんだ?開発するのか?」
「あ~、めんどくせえからパス、おまえがやってくれよ、と言うかあいつ、誰だっけあたいの星を開発してくれてたやつ、あいつ居ないの?」
「だから俺とお前しかまだ居ないって、まだ見つけきれてないだけかもしれないし、来てないかもしれないし」
惑星開発の話になると露骨に嫌な顔して他の誰かに任そうとしていた。
「リンと余ってるロボにやらせたらどうだ?」
私の提案に、それだと指を鳴らしながら、ユウのリンク機能でリンに惑星が来たら開発よろしくと丸投げしていた。
まあ私も結構丸投げしてるからこれは怒れないな、と渋い顔していた。
そこで軍基地のシミュレーターで艦載機隊鍛えあげてくれ、と言うと目を輝かせて任せろと言ってきた。
何か心配だがこれで面倒見良いからありかな、と納得する。
翌日からレイカは軍基地に行き、シミュレータールームに艦載機隊を呼び出ししごき始めた。
数日後げっそりした艦載機隊の面々が居たのは見なかったことにしよう……
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