第9話 宇宙港とエリート部隊
今日は宇宙港完成を祝う式典の日だ。
大型3隻、中型と小型8隻が停泊できる小規模の宇宙港、
その中に造ったイベントホールには、各学校職員や移民センター職員といった公務員・シャボール商会の代表と幹部・アルトメイト社の営業と技術者数名・それに宇宙港の勤務に採用された職員・それにMG-800が200体、が集まっている。
「この度はヤマト宇宙港完成式典へお越しくださいありがとうございます。
今ここにいる皆さんや国民の皆さんの協力で立派な宇宙港が完成しました。
完成を祝して、乾杯!!」
私の一言でホール内とモニターの先の地上に集まる人たちの歓声が上がる、
こちらの状況を地上でも見れて、逆に地上の状況をもこちらで見れるようにしてある。
折角だからみんなで喜びを分かち合おうと企画した、
「この双方向の通信映像は大成功だな」
そうつぶやく私に、会場にいる人たちが次々とお祝いの言葉を伝えに来る。
窓の外の大型パースにはネメシスが停泊している
この宇宙港は貿易港として人と荷物を扱う予定だ。
人はエレベーターシャフト内を走る有料シャトル便か無料の軌道エレベーターで地上と宇宙港に移動する
そして荷物は貨物シャトルか小型輸送艦三隻を使い地上と宇宙港を行き来する。
軍基地と軍港はまずは地上に造る予定にした。
その予定地も設定してあり、もう工事が始まっている。
ただ今日は宇宙港完成式典のため国民は全員休日としている。
宇宙港の内部も事務所区画や荷受け区画、旅客区画などとても広い、停泊している2000メートル級の大型艦ネメシスがちっちゃく見えると言えば大きさは分かるだろうか。
端から端まで車でも数日は掛かりそうな位である。
だがこれでも他の星系から見れば小規模だというのだからびっくりである。
式典も終わりの時間になり、アリスの締めの一言で各自ホールから出ていく。
私たちもホールを出てネメシスが停泊しているゲートに向かう。
「シンセイ様お疲れさまでした、立派な宇宙港になりましたね」
部屋の戻った私たちにネメシスが声をかけてくる。
お礼を言うとベットに寝転んで大の字になる。
セバスに着替えてシャワーを浴びてから寝てくださいと言われたが、うごきたくない気持ちが強くそのまま寝てしまいたくなった。
翌日は招待した関係者を送るため宇宙港のロビーにいた。
まずはアルトメイト社の人たちを送る、
「今度、ご注文お待ちしてますよ」
リリーが笑顔で言うと手を振りながらゲートに向かって行く、技術者の人もお辞儀をしてリリーについていく。
次はシャボール達だ
「また何か入用がありましたら連絡ください、何でもそろえて見せますよ」
そう言うと笑顔でゲートに向かって行く。
「さてこれでおしまいかな」
そうつぶやくと横に立つアリスとセバスが頷く。
そして私もネメシスの停泊しているゲートに向かう。
式典からしばらく立った日、私は軍学校にいる、いわゆる抜き打ち視察である。
敷地に入る前から気合の入った声が聞こえてくる、これは期待できるかと思いつい嬉しくてワクワクしてきた。
運動場ではいくつかの集団が運動していた、その姿を横目に建物に入っていく。
建物に入ると数人の学生らしき人とすれ違う、私に気づくと素早い動きで学生は端に寄り敬礼してくる。
私も略式敬礼で返して通り過ぎると、
「代表を初めて生で見たよ、思ってたより若いよな」
「かっこいいですよねー代表」
などとひそひそ話しているのが聞こえる。
なんかいいな、とウキウキしながら教官室に着く。
私が来るとは思ってなかったのか、教官たちはいっせいに席を立ち敬礼してくる、それを手で制し気楽にしていいと伝える。
「今日は突然だし気にしなくていい、それで生徒たちの様子はどうなのかな」
私の一言に各クラスの成績やプロフィールのデータを出してくる。
それを順番に目を通すと、成績のいいクラスが二つあるのに気づく。
「この成績のいいクラスは何だ?」
気になったので質問すると、近くにいた教官の1人が軍学校のシステムを説明してくる。
過去に承認した企画書などに書いてあったのだろうが細かく読まなかったのもあり教官の説明に耳を傾けた。
軍学校では実力と性格を見てクラスを決定している、それもひと月ごとにクラス編成を変えるのだそうだ、競い合わせて実力をつけさせようという方針らしい。
各学年ごとに実力があって性格もいい者はAクラスでそこからB・C・D・・・と進み実力も性格も問題のある生徒は最下位クラスになるらしい。
そして成績が飛びぬけていたのは最上級生のAとBクラスだった、内容を見ても即戦力で行けそうなレベルである。
「この候補生たちはいつ卒業だ?」
「1期生はひと月後に卒業になります」
「ほう、じゃあ卒業時のAクラスの生徒は希望する者は中尉とし代表直属隊配属にでもするか」
「わかりました該当生徒に伝えます。」
「そうだな……いや、これは全体に伝えてほしい、2期生以降にも適用される物とする」
私の言葉に驚く教官が多い中で冷静に受け答えしてくる教官もいた
驚くのも無理はない、軍学校を卒業すると成績順に階級が振り分けられる、最高で少尉で下は伍長になる
傭兵や臨時徴兵の場合一等兵としその上が伍長になる。
なので卒業時に中尉は異例である。
ちなみに教官たちは少将や大佐としている。
教官室を出ようとすると、先ほど答えてくれた教官が案内するとのことなので任せることにする。
そしてシミュレーター室や座学室に室内訓練所やプール、そして候補生寮まで案内してくれた。
寮の食堂に行くとMG-800が居た、
「シンセイ様お疲れ様です」
なんでも候補生の栄養管理のためネメシスが配属したのだそうだ。MG-800の料理おいしいからな、納得だ。
ちなみに各学校の食堂にも配属されているとか。
挨拶をすませると校舎を出る、運動場ではいくつかの集団がまだ運動していた。
門のところで教官と別れてネメシスに戻るため車に乗った。
抜き打ちの視察からひと月後、軍学校の応接室で私の前に六人の若者が並んでいた、軍学校を卒業した1期生Aクラスだ。
襟には白猫のバッチを付けている、直属部隊の証として特注で作らせた物だ。
「今日から君たちは、私の直属部隊になるわけだ、その白猫バッチに恥じない働きをしてほしい、
それに順次後輩が来るからな、蹴落とされないようにしろよ。」
笑顔で言う私に緊張した六人は硬い表情で固まったままである。
「とはいっても六人じゃ何もできないよな、なのでしばらくは軍学校で後輩の指導と自身の鍛錬に励んでくれ。」
「「はい」」
返事をし部屋から出ていく六人、それを見送ると、
「やっぱ軍隊は良いな。」
そうつぶやく横でアリスも笑顔で見ていた。
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