第8話 シャボール商会ヤマト支店
シャボールが来るという事で衛星調査を中断して惑星に戻るネメシス。
倉庫区域の近くの平らな土地に降下すると、シャボールから通信が入り、座標を指示して降下させる。
「シンセイさん、お久しぶりです。」
「こちらこそひさしぶり」
何気ない挨拶から始まり、商談の時間となる、するとアリスが担当するため、私は大人しく座って2人の会話を聞いてるだけ。
いつも通りこちらはレアな食品を出し金額決定する。
そして買うのはいつも通り消耗品や資材、今回は中古の小型輸送船二隻とMG-800を百体。
「MG-800なのですが、メーカーから直送されるとのことなので、今回代金をいただきまして、後日届けられる手筈になっております。」
シャボールの説明に私は頷く、まあ事前に少し時間がかかると言われていたからな、許容範囲内だ
そして無事に取引はおしまいだ。
次は商店の話に移る
前もって通信で話し合っていたのもありその時の案でお互い合意してはいたが、シャボール側から追加を出してきた。
「こちらの星系にシャボール商会の支店を建てさせていただきたい。
今この星系の周辺にこちらで買った野菜の販売網を構築していまして、その拠点をここにと思いまして。」
支店を宇宙港の一角に作らせてほしいとの話だ、私はむしろこちらとしては願っても無い申し出だったのでそれを受けることにした。
そして細かな事を決めたら契約成立だ。
すぐに商会側から数名がこの惑星に常駐するとのこと。
後は商店建設の際の資材置き場や作業員の泊まる場所を提供する。
倉庫区画の一部を賃貸。
作業員に関しては商店が立て終わったら、迎えの商船団が来るまで自由に使って構わないと言われた。
支店も宇宙港に造る予定だった事務所エリアの一角を提供すると約束した。
そして契約が成立して書類にお互いのサインをすると、シャボールは嬉しそうに帰っていった。
私はそれを見送った後、新しく来た輸送船を眺めていると、ネメシスから新しい輸送船にもネメシスのAIのコピーをインストールするので、使えるのは明日からと言われた。
それが終わったら宇宙港建設の際の輸送や休憩用に使用許可を出して良いと伝える。
そしてまた衛星の調査に戻るための準備に取り掛かる。
衛星の調査も一通り終わり一息ついていたころ、ネメシスが通信がきたことを伝えてきた。
相手はアルトメイト社の営業と名乗っているらしい、MG-800の配送かと思い地上への降下を認める。
応接室に招いたその人は『リリー』と名乗り挨拶してきた。
MG-800の納品とネメシスやアリス達の事で来たという。
取引したという社内の記録は残っているが、担当者が誰か分からず確認のために来たという。
私もこの世界に来たら所有していたから知らない……なんてことは言えずに、この船やロボは遠縁の者の仲介で譲り受けたものでだれが取引したかまでは知らないと伝える。
それを聞いてリリーは目を輝かせて、
「それでしたら、今後ヤマト様の営業窓口として私が担当させていただいてもよろしいでしょうか?」
と聞いてくるので頷くとすごい喜びながら手を握りブンブン振ってくる。……営業さんもこの世界では大変なんだな。
その後アリスのAIが純正と違うことに気づいたリリーは、今回持って来たMG-800には純正のAIが入っていると説明される。
だがアリス経由でネメシスがAIの書き換えは此方でできると聞いたので、そのまま納品してもらうこととなった。
それからリリーは最新の各種カタログデータを一通りよこし、通信用アドレスも登録したのち、MG-800を納品して帰っていった。
私はネメシスに言われるまま、新しいMG-800を艦内のカプセルに入れたら、ネメシスがAIの書き換えを開始したと報告してきた。
納品の度に書き換えるの面倒だな、とつぶやくと、
「書き換えは半日しないですから大丈夫です。」
と言ってきた、そんなもんでできるのか。
船のAIも一日かからなかったものな、そんなもんなのだろう。
新しいロボたちはそのままスリープ状態に移行してもらい、学校や行政の建物ができたら活用するというので任せることにする。
衛星の調査を終えて惑星に戻ってくると、
居住区画にシャボール商会の商店が完成して、病院も完成し機材搬入が始まり、行政区画ではメインの中央行政ビルが出来上がったと報告を受けていたのもあり、スリープ状態だったロボを十体稼働させ、中央行政ビルで作業させることにした。
ネメシスが住人の一部を行政ビルで働かせるか聞いてきたが、暫くはロボだけで仕事をさせると伝えると、了承して暫く募集はしないことにします、とだけ伝えてきた。
「ほんとにやる事が無いな。」
たまに惑星から上がってくる報告や申請に目を通し許可をするだけのお仕事。
企画やら設計やらはネメシスやアリスがやってしまい自分が目を通し許可するだけ。
そんな中つぶやく言葉にアリスが反応する。
「そうですね、そろそろ移民第二陣が来る頃ではないですか、今回は千人超えになるかもしれないためいろいろと忙しくなるかと思いますよ。」
「そうかそろそろか。」
移民が来ると言われそろそろ待望の計画が実行できるとワクワクしてきた。
教育機関区画に学校が建つ前に教育法を定めることにした。
まずは義務教育制を導入、5歳から15年間は義務教育として基礎学力をつけさせる、卒業後に大学か軍学校に進むか仕事をするか選択できるようにした。
大学では各種専門職に就くための学科を設け学ばせて各種資格を取ってもらう。
軍学校では卒業後には軍に優先的に入れるようにして、成績次第では士官候補として優遇する、
専門職以外では基礎学力があれば問題ないのでそちらを選択することもできる。
学費は各種学校の授業料と食事といった最低の生活費は無料、資格試験の費用や個人で使う嗜好品の購入は自己負担、としているので、
今この惑星は大学や軍学校への入学希望者を募り入学試験が行われている。
義務教育への編入は来月から、大学軍学校は三か月後からとしているので、今は事務作業をしているロボたちが忙しい状態だ。
第二陣の移民の中には他国の退役軍人や傭兵業をしていたという者たちが居るため軍学校での教官として雇うつもりである。
そして軍の訓練用に、旧式の駆逐艦一隻と航宙戦闘機五十機それに戦闘シミュレーターをシャボールに注文しているので、、今度の移民と一緒に来る予定だ。
「いよいよロマンの大艦隊への第一歩だ」
「そう言いますけど、宇宙港もまだできてませんし、軍港なんてまだ計画設計すらしていませんよ」
アリスの水を差すような言葉に、空に続くエレベーターシャフトを見上げるのであった。
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