第7話 惑星調査
住人の引っ越しが完了した翌日ネメシスは宇宙空間に浮かんでいた。
「シンセイ様ヤマト衛星大の重力圏に入りました」
このヤマトには衛星が二つあった、そのうちの大きいほうをヤマト衛星大、小さいほうをヤマト衛星小と仮称する。
今後調査が終わったら名前を付けないとな。
「よし、衛星大の周回軌道に入り各種スキャン、完了後に降下。」
ブリッジでネメシスに指示を出しつつモニターを確認する。
衛星と言っても大きいほうは惑星の5分の1ほどある星である、スキャンするにしても時間がかかるだろう。
と思っていた。
周回軌道に入り数周しただけで全スキャンが終わってしまった、解析は後でするとして降下し始める。
「もうおわったの?もっと時間かかると思っていたんだけど。」
私は呆然としながらつぶやく
「正確には各種簡易スキャンが終了です、詳細なスキャンに関しては地表付近で解析と同時におこなっていった方が効率的にできます。」
簡易スキャンを軌道上でして、地表付近でスキャンして両方のデータを合わせて解析して、そのデータと簡易スキャンをしながら軌道上でばらまいてきた観測衛星を使って詳しくスキャンして解析して、と数回に分けてやるのが効率的らしい。
まあその辺はネメシスに任せるか。優秀だから私なんかが口出さなくてもいいだろう。
辺り一面平らなところに着陸すると、スキャン開始する。
今更だけどネメシスってプラント艦なんだよな、なんでこんなスキャン機能とか付いているんだろう?
そんなつぶやきにネメシスが教えてくれた。
ネメシスことPT2000はプラント艦と位置付けられてはいるが開拓向けの艦でこういった開拓向けの観測機器等が積まれているのだそうだ。
開拓関連の設備をすべて撤去してプラントにすれば生産はネメシスの3倍以上に出来るらしい。
それを聞いた私は、船ごとに違った改造をすることで個性を出すことができるのか、と今後の艦隊保有の参考になるかもなと考える。
浮上と着陸を繰り返し地表からスキャンを繰り返す、
その間に衛星の地表地図作成や埋蔵予想資源を特定するための解析をしていく、
スキャンと解析が進むたびにブリッジに浮かぶいくつかのモニターに解析が完了したデータや地図等が表示されていく。
地図や画像を見るとあちこちにクレーターができていて、昔見た過去の月の写真を思い出す。
するとアリスがこの地図や画像を使うことで3D地図が見れますと言うと、目の前に衛星や惑星を小さくした物が浮かびだす。
「すげー、自由に回して見れていいなこれ。」
私が感動してはしゃいでいるとアリスがドヤ顔していた。
3D地図で遊んでいるとネメシスから『通信が入りました』と報告が来る。
誰からか聞くと移民センターからという。
モニターに出してもらうと、先日だした指示の報告で。
病院建設地前に仮診療所の開設、
医師は指定数の確保は出来そうだが看護師が既定の半分、
それに伴う見習募集の確認。
娯楽に関しては食堂や商店といった物がほしいなどの調査回答。
であった
「医療に関しては順調だな、この募集は許可して良いぞ。
そして娯楽だがこれはどういったことなんだ?」
「予想ですが息抜きができる物がほしいという事ではないでしょうか」
「うーん、飲んだり食ったり買い物したりで息抜きがしたいという事か。
食堂に関しては調理人と店員さえ用意すればいいだけか、希望する住人を募集して営業許可を出そう。
商店に関してだがどうしたらいいのだろう」
ネメシスは私の指示を実行した後、商店に関してはシャボール商会に相談してみては?と言われる。
それを聞いてシャボールにいくつかの質問を送信してもらった。
数日が経ち地表スキャンが終わり、ネメシスは再度周回軌道に上がっていた。
順調にスキャンの解析をしているとシャボールから質問の回答が返ってきた。
内容は簡単にすると、
許可が出るならシャボール商会で商店を作る。
販売物は最初は日用品中心で住人の意見を聞き順次追加。
販売等に伴う納税。
それを見てネメシスと相談してから、シャボール商会側とも何度かすり合わせを行った結果
商店建設の費用は商会負担、
従業員の一部を住人から採用してもらう、
販売物については審査をして許可する。
売り上げに一定の税を課す。
という案でシャボールと仮契約を結ぶことができた。
後は次回来た時にでも本契約をする。
そんなことをしていると衛星大の解析も終わり結果を確認していた。
「この衛星は鉱石が中心だな、予想埋蔵量もこの大きさの星としては多いな、
これなら採掘規模にもよるが、惑星開発に回しつつも販売を視野に入れてもいいか」
「ですがまずは惑星の開発が一定の規模にならないと、こちらの採掘に着手出来そうにありません。」
私の言葉にネメシスは、衛星開発には今やっている開発が完了して宇宙港が完成する事が必須になる。
他にも人員の確保も必要と、いくつかの問題を提示してくる。
「そうだな、まずは惑星の開発が先だ」
私の言葉にネメシスも了承し、次の衛星小に向け移動を始める。
衛星小に移動中、エレベーターの地表部が間もなく完成するとの報告が入る。
それに伴いシャフト部建設と宇宙港建設への移行。
その際の荷揚用に小型輸送艦の使用の申請が来る。
一緒に送られてきた計画案に目を通すと宇宙港とシャフトは同時建設するらしい。
すべてに目を通し申請を許可していく。
「これでやっと宇宙港の建設が始まるな。」
地上の開発状況はと言うと
倉庫区画、プラント区画は予定していた建設は終わり。
住居も予定の約半数が完成し3百人程が簡易宿舎から引っ越しをしている。
行政区画も一部道路や建物の基礎工事が始まっている。
教育機関区画も道路工事があちこちで始まっている。
そろそろ第二陣の移民受け入れも視野に入れてもいいか?
などとネメシスに相談しているとアリスからMG-800シリーズをもう少し増やさないかと提案される。
今後の教育や管理に役立つので今のうちに増やすのがいいのでは、という理由だ。
少し考えた後ネメシスからカタログを出してもらい確認する。
MG-800とはアリス達の型番のようなものだ、汎用サポートタイプのアンドロイドロボットである。
便利なのは確かなのだが、今いる人数で足りなくなるのか?などと考える
ネメシスはどうなんだろう?と聞くとネメシスは、
「二百体なら現在購入できます、今のうちに増やすのは良いと思います。」
と追加に賛成だった。
色々と考えた結果MG-800を男性型と女性型を五十対づつ計百体と中古の小型輸送艦二隻を増やすことにした。
そうと決まればとシャボールに注文すると、MG-800は少し時間がかかるが輸送艦は次来る時に持ってこれると返事が来た。
衛星小の調査も半分ほど終わったころ、シャボールの商船団が近づいてくると報告が来た。
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