第6話 移民団


いつも通り、おいしいご飯を食べトレーニングをして昼寝をしてたまに戦闘機の操縦訓練をしてという日々を過ごし、独立星系ヤマト誕生から2か月がたった。

ブリッジから見える景色は倉庫が三棟と軌道エレベーター地上施設の基礎部分が見えていた。

倉庫といっても小型輸送船がすっぽりと入りそうな大きさのものが三棟。

基礎部分といってもまだ4分の1ほどしか手を付けていないが、今の時点ですら陸上競技場が数十個は入りそうな大きさになっていた。


「ずいぶんと進んだな」

「倉庫の二棟はまだ外装だけで内部は終わっていません、基礎のほうも資材不足でもうすぐ停止せざる得ないかと。」


アリスと会話しているとシャボール商会から通信が入る。明日にも到着するとのこと。

そろそろ資材が尽きそうなときに商人がくる。なんてタイミングがいいんだ。

いよいよ移民第一陣がやってくる、居住施設がまだできていないのでネメシスの居住区画を開放する予定である。


「移民のために明日は大型ホールを開放して式典でもするか、今日の作業はやめて全員で受け入れ準備してくれ。」


私が指示を出すと各所で作業をしていたロボたちが順次ネメシスに戻って来て受け入れ準備を始める。




翌日。

シャボールたちの商船団が到着した、まずはシャボールと移民を乗せた大きな船が降りてきた。


まずはシャボールを応接間に移民をホールに案内するように指示を出す。

そして私とアリスは応接室に、セバスは移民たちの確認と戸籍作りのための手続きの対応に向かう。


「資材輸送と移民の募集、ありがとうございます」

「いえいえこちらも仕事ですから」


簡単な挨拶を済ませると、あとはアリスに任せ交渉に入る。

こちらが提示した数量より少し多い資材を持ってきてくれたが、予算内だったのですべて買い取ることにした。

そして移民の輸送代もネメシスが計算していた予算内でおさまった。

移民の人数は家族含めて630人、そして家族の中には元店員さんや役所勤務経験者などが居るとのこと。

あくまで今回のメインはインフラ整備等の建設や機材整備といった技術作業員である。


「今回は儲けさせていただいきました、ありがとうございます」

「こちらも助かりました、ありがとうございます」

「今後もシャボール商会を贔屓にしていただきたく……」


握手を交わしまた必要なものができたら連絡すると伝え取引は終わった。

倉庫に荷物を入れるため商船団は数日はこの惑星の軌道上にいる。

そこでシャボールを移民受け入れの式典とパーティに招待することにした。

明日の昼に式典をして、夜にパーティをすると伝える。


翌日、式典会場には正面に移民たちが座りその後ろにロボットたちが待機する

正面の台に立ち見渡すと、630人の移民たちとロボット300体が勢ぞろいしているのは爽快である。


「移民の皆さん、俺はこの独立星系ヤマトの代表のシンセイです。

 この度は移民第一陣として来ていただきありがとう。」


挨拶とこの国の説明が終わると一斉に拍手が上がる。

すごい迫力だな。


「今夜はお祝いとしてパーティをしようと思う、みんな楽しんでくれ」


式典も終わり最後にパーティがあると伝えると再び拍手と歓声が起こる。


夜はロボットたち全員が給仕や料理当番になり次々と会場に料理を運んでいく。

立食タイプのバイキング方式で、自由に気楽にできるようにと中央のテーブルに料理をまとめ、壁側に休憩用のいすを並べた。


「みんな楽しそうでうれしいね」

「そうですねにぎやかになりましたね」


アリスと話しながら皆を見ている、自然と私の顔が緩んでくる。

そこへ年配の男性が近づいて声をかけてきた。


「代表、この度は我々の受け入れをしてくださり、このような盛大なパーティーまでしていただきありがとうございます。」


この男性はこの移民団で一番歳が上のため代表としてあいさつに来たという。

その中でエレベーター予定地周辺で街づくりも並行してやりたいと提案してきた。

アリス経由でネメシスと相談すると、資材の関係で大規模にはできないが簡易住宅くらいなら大丈夫となった。

後日にでも予定地などの相談をすると話していると、シャボールが聞いていたのか話に入り込んできた。


「もしよろしければすぐにでも資材を手配して送らせますが」


今来ている本隊とは別の船団に送らせれば2週間もすれば届けられるとのこと。

ネメシスと相談するとどちらにしろ頼む予定だったと了承した。

するとシャボールはすぐ通信を開きネメシスから受け取ったリストを送信していた。

さすが商売人だ早いな。

そして男性には予定の相談や私への提案などあれば、各ロボットに言えばネメシス経由で私に伝わるからみんなに周知してくれと伝えると、お辞儀をして去っていった。

そして賑やかな中パーティは終わった。


翌日作業員の配置などをネメシスに丸投げするといつもの日常を繰り返す。

昼を食べ終わると、ネメシスからプラント施設と住居を合わせた居住区域の相談を受ける。

場所は東側の倉庫区域からエレベーター区域を挟んで反対側の西側を居住区画に南側をプラント区画とする。

各区画を繋ぎつつエレベーター区画を囲むように大きな環状道路を作ることになった。

初期計画案ではプラントの完成によりネメシスと合わせて五千人規模の食糧が確保できると計算しているらしい。

行政区画はエレベーター区画の北部に予定している。


優先順位は倉庫とエレベーター区画と環状道路にプラント、その次で居住区画、最後に行政区画となる予定だ。

状況によって多少の変更はあると思うが、これで行くことにした。




そして一か月が過ぎた

倉庫が三棟が完全稼働を始めた、エレベーターは基礎が完成して地下と地表部の工事に取り掛かっていた。

居住区域では住人の提案もあり簡易的な役所(移民センター)を作り、ロボットを一名職員としてなおかつ住人から数人職員に採用し、私と住人の橋渡しや行政区画ができるまで住人管理をしてもらっている。

住居も千人程は入れる仮宿舎が出来たのでネメシスから順次引っ越ししてもらっている。


「何もなかった惑星も色々出来てきたな。」


ネメシスから送られてくるデータや報告と外の様子を映したモニターを交互に見ながらつぶやく。

ネメシスは住んでいた住人が惑星に引っ越したら今度は衛星の調査しようという、


「今、衛星を調査してどうすんだ?」

「まだ詳しく衛星を調べていません、埋蔵資源がどの程度あるか等判りません。

 埋蔵量にもよりますがそれを使用、もしくは交易品として利用できるかと。

 将来的に要塞化や軍事基地化することで防衛にも使えます。」

「資材はすべて購入だもんな自国で生産できるようになるのはいいことだ。

 軍事基地!!それいいなぁ、大艦隊はロマンだ、数の暴力は正義!!」

「ただ問題も発生しています、医療や娯楽といった物の建設の陳情も来ています」

「そうか、いくらナノマシンが軽度の怪我や病気を抑えてくれるとは言っても医療は大事だな、すぐ機材を集め住人から医療従事者を集めるか。

 機材はシャボールに打診、住人で元医者や元医療従事者が居れば採用するとの通達も移民センターに指示してくれ。

 娯楽か、どんなのが好まれるのか調査もお願いする。」

「畏まりました、医療規模はどの程度で……」


病院を立てるのに、どの規模にするかと言われたので、まずは病床十人程度の小規模病院くらい、と伝えたらすぐ機材と必要人員を表にしてきた。

医師は前に住んでいた惑星での医師免許を提示したらヤマトでの医師免許を発行する、看護師にしても同じ。

それでも足りない場合の対処として、暫定的にその医師や看護師が教育して一定技術になったら仮免許の発行とした。

そうなってくるとゆくゆくは教育機関も必要になる、そのため居住区域と行政区域の間に教育機関区域を設定し、行政区域と同じ優先度に設定。

計画骨子を決めてネメシスに丸投げする。ネメシスが居なくなったら何もできなくなりそうだな……。





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