軍事力拡大

第10話 軍編成


軍学校の一期生卒業から三年後、惑星の民も百万人を超えるまでになった。

そして二つの衛星の採掘も軌道に乗り始めた、惑星開発も順調で軍基地もできた。

そしてネメシスことプラント艦は軍基地の隅に固定されていた、AIであるネメシスをプラント艦から戦艦に移植したからだ。

プラント艦は今ネメシスのコピーAIをインストールしている。

この戦艦はアルトメイト社の特注艦でレア金属をふんだんに使って建造されている。


「ネメシス調子はどうだ?」

「機体及び各種システムに問題ありません、いつでも出れます」

「じゃあ行こうか」


軍基地からネメシスがゆっくり浮上していく。

ブリッジには軍学校を優秀な成績で卒業した18人が乗っている、皆襟に白猫バッチを付けている。

そしてネメシスの艦側面には大きな白猫マーク、直属隊のエリート部隊の証である、

そして艦載している戦闘機隊にも同じマークが描いてある、

ただ戦闘機隊にはバッチは与えてない、今現在このバッチは軍学校主席クラス卒業の証になっている。

後々はネメシスの乗員は白猫バッチ保持者だけで編成したいものだと艦隊の浮上をモニターで見ながら考えていた。

なおネメシス以外の他の艦に描いてあるのはヤマトのマークとした柴犬だ。


なぜ私が戦艦で出ているかと言うと、今日は軍編成が完了した記念日の翌日だからだ。

軍編成と言っても艦艇の数は少なく1艦隊しかないのだけど、記念すべき日である。

内訳は、戦艦1(旗艦ネメシス)・巡洋艦3・駆逐艦12・補給艦3・である。

戦艦と巡洋艦は設計から拘った新造艦で、駆逐艦と補給艦は旧式艦であるが、1世代前の型なのでまだ現役で十分通用する性能である。


なので街の上空を艦隊で飛んでお披露目しようというおちゃめな企画である。

式典は昨日やったので、建前上は今日は訓練飛行である。

本音は、折角だし一般のみんなに見せびらかしたいじゃん!!という思惑である。


「全艦に通達、指定座標に到達後、旗艦ネメシスを先頭に魚鱗陣を形成」

「「了解」」

「ネメシスサポートよろしく」

「分かりましたシンセイ様」

「全艦ネメシスのサポートが入ったら再教育で軍学校送りだ!!」


実はすべての船にネメシスAIのコピーをインストールしているため、最悪ネメシスだけで艦隊全てを動かせたりするのだが、

ここはみんなの実力を見ながらサポートしてもらう。


「それは自分らも気合入れないとだめですね」


ブリッジからも声が聞こえてくる。


「そうだなお前らの場合バッチ没収で再教育だな。」

「それは勘弁してください。」

「なら本気で気合入れるんだな」

「「了解」」


ブリッジに気合が入ったところで指定座標に着き陣形が整う。


「では全艦、微速前進!!このまま街の上を通過、通過後全戦闘機隊出撃、そのまま街の上空を通過、惑星一周して各機着艦。」

「「了解」」


さて式典二日目(サプライズ)のはじまりだ!!


MG-800はリンク機能で知っているが他の国民はこの事を知らない。

艦隊が倉庫区画側から行政区画の上を通り居住区画の上を通過する、低空で飛ぶ艦隊に驚きと歓声が上がる。

その状況をMG-800から街の状況を映像で送られてくるのを各艦の艦内に映させる、みんなもそれを見てもっと気合が入る。

そして街を通過し見えなくなると、戦闘機全機発艦し街の上空を通過する。また歓声が上がる。


「いやーきもちいいな」

「そうですね気合入りますね」


私の言葉にブリッジも反応する。


「さて全機着艦したら基地に帰るぞ」

「「了解」」


やり切った感満載で基地に帰還する。

それを見ていたアリスはため息交じりに私を見ていた。


その日から数日、街での話題は艦隊飛行の話でもちきりになった。




訓練の日々が続きしばらくたったある日、唐突に通信が入る。


「シンセイ様、通信が入っています。これは…」


ネメシスが通信を受けたのは救難信号の通信だった。

それを聞いた私は


「すぐ出るぞ、全艦出れるか?、出れる艦から浮上、軌道上で待機。」


全艦が軌道上に終結・陣形形成までにかかった時間は30分、なかなか訓練されているじゃないか。


「救難信号を受信した、我々は救援に向かう。

 ネメシス、ワープサポートよろしく。

 各艦ネメシスのサポートで救難信号の座標手前にワープする」

「「了解」」

「わかりましたいきます」


私の号令でネメシスが全艦のワープ座標の設定とサポートをすると、即座にワープに入りブリッジのモニターが真っ暗になる、

そして数秒後ワープが終わるとモニターが元に戻る。


「ワープ完了。正面の艦船から救難信号の反応」


ネメシスの言葉に正面センサーの感度をあげズームさせると、一隻の船が止まっていた。

一隻だけしか見えなく破壊されたような形跡もないので宙賊に襲われたというような事ではなさそうだが、各艦に警戒するようにさせた。


「巡洋艦は警戒、駆逐艦先行で目標の船に接近、罠の可能性もあるから警戒は密に。」


罠の可能性も視野に入れた指示を出し正面の船に近づく。

駆逐艦の二隻が前方の船の両脇に着くが、敵対行動はないようで罠の可能性は消えた。

駆逐艦からも船におかしな反応なしとのこと。


「移乗して探索、生存者と状況の確認、気をつけろよ、」


私の指示に二隻が両側から船のハッチに接続して移乗していく、

その際にMG-800も数体ほど連れて行ってるようで、モニターに艦内の映像が出てくる。


「生存者はいないのか?」

「船籍確認できました、グリード社の最新鋭大型プラント艦です。

 単艦で航行してるのは奇妙ですね。」


ネメシスの言葉に何かが引っかかる感じがしたが、生存者が居ないかの確認が優先だという気持ちで、その感覚はすぐ忘れてしまっていた。


「各部隊現状報告」

「艦内を探索中ですが、現時点で生存者の確認はされていません、異常も見当たりません」

「どういうことなんだ?」


そのとき移乗していたMG-800から通信が来る。


「ネメシスとは別のリンクを確認」

「は??」


ネメシス以外にリンク機能のあるAIが搭載されているという事か?と考えていたがその直後


「生存者発見、脱水及び低栄養状態で気絶しているようですが命に別状はありません、このまま駆逐艦の医務室に運びます」

「よくやった、まだ居るかもしれないから他の隊は探索よろしく」


生存者発見の報告を受けてちょっと興奮するも、まだ居るのではないかと他の隊には指示を出す。

すると突然通信が入る。


「救援感謝する、こちらグリード社製GP2000のAIシステムです。

 乗員は先ほど救助された1人のみです」


相手は目の前の船のAIらしい。


「リンク確認、目前の船は私と同じAIシステムのようです。」


通信が来たことでネメシスと目の前の船でリンクしたようだ、しかも同じシステムだという……


「なんだって?」






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る