第2話 プラント艦

どのくらい意識がなかったのだろうか?気が付くとそこは見たことない部屋だった。


「ここはどこなんだ?」

「お目覚めになりましたか、登録いたします、お名前をお願いします。」


辺りを見回しつぶやくと、突然機械的な音声で声をかけてきた。


「名前?登録?あ~ログインできたんだな、それより初期ポイントからそっくり変えたのか、さすが超大型アプデだな、これじゃ新ゲームだな。」

「俺の名前は『シンセイ』だ。」

「『シンセイ』様ですね……登録完了しました、これより惑星に降下いたします。」


サポートAIの音声なのかな?などと思いながらシステムなどのウィンドウを出そうとするが、いくら手を動かしても出ない。


「あれ?ウィンドウ出ないぞ?どうなってるんだ?」


考えられる限りの動作で手や腕を動かした後、右腕に腕時計の様な物がついているのに気づく。

触ってみると腕時計の様な物からいくつかのウィンドウが出てきた。


「これで操作するのか、操作方法自体変えてしまうなんて、本当にすごいな」


「システムウィンドウはどれかな……」


出てきたウィンドウを調べてもシステムウィンドウが無い、腕時計をいろいろいじってもシステムだけ出てこない。


「なんでシステムウィンドウ出ないんだ??」

「シンセイ様どうされましたか?」

「システムの出し方教えろ。」

「システムとは本艦のシステムでしょうか?」

「このゲームのシステムウィンドウだよ、ログアウトや外部ツールに接続するためのシステムウィンドウがあるだろ。」

「ゲームですか?…シンセイ様の仰ることが分からないのですが、ログアウトとはなんでしょうか。」

「はぁ?ログアウトはログアウトだろうが、お前はサポートAIじゃないのか?」

「私はPT2000プラント艦のメインAIです。」

「ん?PT2000プラント艦?そんな艦聞いたこと無いぞ?アプデの新要素か?」

「私はアルトメイト製の2000メートル級プラント艦になります。」


AIの答えにさっぱりでこの艦はアプデの追加だと思っていた、システムが出ないことには連合メンバーのいるたまり場に行けない。

どうしたらいいのかといろいろ考えていると先ほどのAIが声をかけてきた。


「シンセイ様、惑星に降下完了しました、この後の計画はどういたしましょう」


取り合えずごたごたしててもしょうがないので、惑星に必要な建物を立てる計画を指示してから考えようと、色々とウィンドウを出し確認しようとするが、どこにも惑星管理のウィンドウが無い。


「惑星管理のウィンドウが無いようだけど、建設とかはどうやるんだ?」

「惑星管理ですか?この惑星は何もないので建設しようにも出来ないかと思われます、まずはテラフォーミングから開始されるのがよろしいかと思います。」

「なんだって?」


AIからの話を簡単にまとめると、

この惑星には地下には氷があるらしいが大気がない惑星で、この艦に積んでいるテラフォーミングの機械とプラント艦で、まずは人の住める星にするらしい……

アプデでいろいろ弄りすぎだろ!!と内心ブチ切れながら、今までの情報はしばらく使えないだろうなとあきらめつつ今後の計画をAIと相談していくことにした。

AIのデータでは惑星に大気層ができればテラフォーミングは大方完了できるとのことだ。

それまでの時間は積んである機械1基で約1か月だそうだ。


ちなみにGGOは現実世界と同じ時間軸を採用しており、現実で24時間立つとGGOでも24時間立つという仕様である。

そんな中、ゲーム開始1手目で30日も放置とかどんなクソゲーだ!!


「もういいログアウトの方法が知りたい、お前のデータベースに何かあるか?」

「ログアウトとは?私のデータには無いようです」

「ちっ!つかえねえAIだな」


システムウィンドウが使えないと運営への報告もできないし、何か不具合があればVR機械が強制ログアウトしてくれるがそれも無い。

後は運営がこのバグを見つけてサーバーを落としてくれればいいんだが。


「どうなっているんだ?こんな致命的なバグ今までなかったぞ」


ぼそっとつぶやくとAIが反応してきた、


「フルスキャンいたしましたがAIシステムにバグは見当たらないようです。」


その言葉に私はお前の事じゃないよ!と告げると部屋に有ったベットに横になって腕時計型の端末をあれこれ弄り始めた。

とにかくこれの操作を把握しなくてはいけないと思いいろいろ弄るが、どれだけ弄ってもシステムと領地管理のウィンドウが出てこなかった。

それ以外に新たに追加されたのか自分の体調管理やこの艦の状況の画面が表示されていた。

体調管理は置いといて、艦の状況を見ると名前の欄が空白になっていた。


「この艦に名前はないのか?さっきなんたらプラント艦とか言ってたような気がするが」


私のつぶやきにまたもAIが反応してきた、


「先ほど申したPT2000プラント艦というのはメーカーの形式名で、この艦自体に名前はまだございません。」


「そっか、型番みたいなもんだったのか、覚えづらかったからちょうどいいわ」


そのまま私はこの艦に『ネメシス』と名付けた。

この名前はこのゲームの開始時に初めて自力で手に入れた宇宙船の名で思い入れのある名前だった。


「『ネメシス』……艦名登録完了しました。」


完了の報告を聞き艦の状況を見ると名前にネメシスと入っていた。

他の項目を見ていると各プラントは稼働中と出ていて乗組員の欄に500と表示されていた。


「この艦は500人も乗っているのか?」


「人間ではなく汎用サポート型アンドロイドロボットが500体搭乗しております」


人ではなくロボットが500体・・・

詳しく聞くと艦内の各種管理のほかにいわゆるメイドや執事といった身の回りの世話もさせることができるという。

それを聞いた私は早速なので待機中の1体を呼んで専属のメイドとして働かせることにした。

すると表示させていた画面に多目的汎用ロボ管理というのが増えた、空白になっていた名前の欄があったので

そのメイドロボに『アリス』と名付けると空白だった名前にアリスと表示された。


この後どうするかと悩んでいると私は気が付くと寝てしまった。






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