第49話 先輩 ※萌々香視点
先日、荻谷先輩と出逢って彼女さんとのデートに同行することを許して頂けた。
大山先輩とは偶然その場で出逢っただけで、付き合ってる訳じゃないのに話を合わせてくれた。
先輩、嘘吐いてごめんなさい。なんて想いながら、デバイスの所を見て回って彼女さんと偶然一緒に。
その後色々あって戻ろうとしたら、如何にも怖そうな人達に絡まれて私じゃなく彼女さんが酷い目に遭いそうになったところを、荻谷先輩が間一髪で助けに来てくれた。
相手は当然彼女さんで……私なんて眼中になくて、胸が痛くて痛くて堪らなかった。
「……先輩」
でも助けに来てくれたその姿は、やっぱり格好良くて凄く胸が暖かかった。
それから色々あって先輩達はもう居なくて、私と大山先輩だけに。
「……村上さん、大丈夫そう?」
「はい……ご迷惑をお掛けしました」
「気にしないで」
大山先輩は私が落ち着くまでずっと傍に居てくれました。
嬉しいことなんですけど……やっぱり荻谷先輩の方が良かったななんて思ってしまう私が居ました。
本当最低な女です。
☆
それから数日が経って、登校日。
中学の頃に先輩の家にお邪魔した時に憶えていた記憶を頼りに道筋を辿って、お礼を言いに近くで待ち伏せ。
まだ痕が残る先輩の顔を見て罪悪感が胸が苦しく、それとは別に顔が熱くなっていきました。
「……な、なんで?せ、先輩には彼女さんが居るのに……」
目が合ってしまってどんどんと距離が縮まって、とにかくどうしたら良いのか悩んでたら勝手に口と足が動いてました。
うぅ……絶対に変に思われちゃったよぉ……!
「はぁ……学校行こ」
すると後ろで聞き慣れた声と聞き慣れない声が聞こえて振り返ると、さっきの先輩が彼女さんともう一人の女の人に挟まれていました。
え?え?何?どういうことなの?
「……なんで」
もう訳が分からなくなって、その光景をずっと遠くで眺めていました。
先輩とあの女の人とどんな関係があるのか、凄く気になって仕方ありませんでした。
「も、もしかして……いや、先輩に限ってそんなことは」
一瞬二股を考えちゃいましたけど、先輩に限ってそんなこと出来る訳ありません。
一途な人だってことは自分自身がよく分かってるから。
でも……。
「……やっぱりモテるんだ。颯斗先輩、格好良いし」
本当あの彼女さんが羨ましいです。
あんなに優しくて、格好良くて、一途で……好きにならないほうがおかしいぐらいです。
彼女さんも綺麗で、む、胸も私より大きくてう、羨ましいです……!
「あんなの見たら……諦められないじゃん」
今度こそ私の想い、ちゃんと伝えたいな……。
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