第47話 彼の居ない活動日 ※桐華視点
とある休日。
私はいつものようにバイトを終え、家に帰宅してパソコンの電源を入れ、最近のメンバーで活動をする。
今日は荻谷君を除いて玲香ちゃん、大山君と三人で通話をしながら。
『今日はどうする?このまま始めちゃう?』
って言っても返答無し。
荻谷君が居ないのが少し気になるけど、別に私達だけでも出来ないことはない。
「……なんか気になる」
そもそも肝心の荻谷君が居ないのが怪しい。
今日はどうしたんだろう?風邪でも引いて寝込んでるのかな?
『ねえ荻谷君はどうしたの?』
『は、颯斗ね……!き、今日は出来ないって言ってたから!三人でやっちゃいましょ……!』
慌てて話を切り変えてくる玲香ちゃん、絶対に何かあるに違いない。
実際声が裏返ってて変だったし。
問いただそうとしたけれど、大山君によって遮られてしまいそのままいつものようにプレイに集中。
私は一時的にマイクの入力を切った。
「あの二人、絶対に怪しい」
絶対に何かあったに違いないと思い、スマホであの二人には内緒で彼に個人チャットを送る。
だけど……。
「……既読になんない」
胸がざわつく。本当に彼の身に何かあったのかと。
☆
結局何も聞けないまま今日の活動が終わる。
私は荻谷君の彼女でないにしろ、一応は想い人であるのには違いないから心配で仕方なかった。
いけないなら断りの連絡を入れる彼が、何もしなかったのが本当に気掛かり。
「……ご飯にしよ」
私は冷蔵庫にあるもので簡単なものを作り、テレビを点けていると一つのニュースが私の耳に入ってきた。
『午後二時半過ぎ、大手ショッピングセンター内にて二十代過ぎの男が男子高校生に対し暴行、そのまま現行犯逮捕され――』
男子高校生……?暴行……?変な胸騒ぎがした。
そういえば今日は二人デートって言ってたような……。
「……そんな偶然、ある訳ない」
そうだ、あの荻谷君がそんなとこに居る訳ないもの。
そんなことになってたら、当然あの玲香ちゃんが悲しむに決まってる。
「きっと楽しくて疲れて寝てるだけ……うん。全く羨ましいけど」
この想いは決して彼には届かないけど、その分悪い方へ考えてしまう。
私は荻谷君の彼女なんかじゃないのに……。
「……でもやっぱり気になる」
私は荻谷君ではなく、玲香ちゃんにメッセージを送った。
『さっきニュースで男子高校生が暴行受けたって言ってたらしいけど、これ貴女達の事じゃないよね?』
送ってから時間にして数分経った頃、やっと返事が返ってきた。
『へー、そうなんだ。知らなかった!物騒だね』
この感じと言い、先の活動と言い、なーんか怪しい。
どう考えても彼女は私に嘘を吐いているようにしか見えない。
今度直接聞いてやろうかしら。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます