第21話 付き合いたて特有の
暫くした後、姉貴は生徒会へと戻り再び玲香と二人きりに。
保健室の先生によると骨や頭には異常はないそうで、帰っても良いらしい。
「ご迷惑をお掛けしました」
「二人とも無事で良かった。また何かあったらいらっしゃいね」
俺達二人は先生に頭を下げ、保健室を後にする。
俺が玲香の手を取ると、びくりと体を震わせて見開いた目でこちらを見ていた。
「どうした?」
「……な、何でもないっ」
頬が真っ赤に染まった玲香、チラチラと移るその視線の先は手。
「手がどうかした?」
「えっ……?!あ、いや……えと」
急にモジモジとし出し、俺は頭を傾げる。
「そうじゃなくって……こっち」
玲香は手を絡めて俺の手を握った。所謂恋人繋ぎ。
真っ赤に染まった顔と潤んだ上目遣いのせいか、凄く可愛かった。
「つ、つ……付き合って、るから……いい、よね」
「お、おう……」
面と向かってそう言われるのは、少し恥ずかしい俺だった。
☆
恋人繋ぎで帰路に就く俺達は、凄い幸せな気分でいた。
隣を歩く俺の彼女となった玲香はまだ頬が赤いまま、上機嫌で体を寄せていた。
「なぁ玲香」
「んー、何?」
いつもよりは上機嫌な玲香の声がいつもよりも弾んでいた。
「この間言ってた感度の事だけどさ、手っ取り早く決める方法があるんだ」
「えっ?そうなの?」
子供みたいに目を煌めかせて視線を向ける玲香。可愛い。
「って言っても俺が見つけた訳じゃなくて、プロの人が言ってたのを参考にして俺なりにアレンジした奴になるけど」
「うんうん、それで?」
「まず、感度には低、中、高の三つがあるんだ。それぞれ利点を挙げるなら、低は精密な動きが得意で高は素早く捉えたりすることが出来る。中はそのどちらにも対応出来る」
玲香は黙って、真剣に俺の話を聞いている。
「ただ欠点がお互い逆の動きが出来ないんだ。低いと素早く狙いにくかったり、逆に高すぎると精密に狙えなかったりする」
「成程……それで?」
「それで自分に合った感度を見つける方法は、一回高い感度で目標に向かって狙う練習をして、行きすぎたりしたら下げたりすると丁度良いのが見つかるんだ」
ただ俺は感度をコロコロと変える人な為、この方法で見つけても翌日は変わったりしてる。
プロスポーツ選手のように、完全なものはないから日々の努力次第なところがある。
「……思ったより結構大変なのね」
「まあな、普通は慣れるのに二週間はかかるからね」
「に、二週間も?!で、出来るのかな……」
二週間も続けられるのかという不安は、始めた頃の俺でも思った事があるから多少は理解出来る。
俺はほぼ無意識に玲香の頭の上に手を置いた。
「玲香なら出来るって、玲香が頑張り屋なの、俺知ってるからさ」
「っ!そ、そう……ふーん?」
顔を少し逸らした玲香の顔は先程よりも真っ赤で、指先で髪の毛を弄り出す。
その割には口元が凄く緩んでいた。
「まあ何かあったら言ってくれていいから……一応彼氏、だし」
「そ、そこまで言うなら……頑張らないことも、ない」
その後俺達二人は何か可笑しかったのか、二人で笑い合っていた。
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