警察

警察では、自殺として処理された女子大生の事件について熱心に調べている男の姿がある。

男の横には捜査資料と過去の捜査資料が積まれている。


「おかしい…何度見てもおかしい…」

「おい、何ぶつぶつと言ってるんだ?どうした?」


積み上げある資料の上に手を置く。

びっくりして頭を上げると事件当時、現場にいた先輩刑事が立っていた。


「い、いえ。少しこの事件が気になりまして…」

「この、自殺した女子大生のやつか。引っかかるよな…」

「はい。この、司法解剖の結果に《睡眠薬を服用した痕跡あり》と書いてあります。これなら誰でも首吊りに見せかけて殺すことは可能です。あと、《右手の中指に微量の被害者とは異なる皮膚片が付着あり》とも書かれていることから自殺ではないと思っています。先輩はどうお考えですか?」

「あぁ、そうだな。俺は当時、現場にいたが違和感があった。この被害者には自殺する動機がないんだよ」

「動機がですか?」

「そうだ、被害者の友人で毎日一緒に講義を受けていた小野おの優樹ゆきって大学生に

聞いた話だと…」


ーーー大学前で被害者と友人関係にあった小野おの優樹ゆきを待ち伏せする。

遠くから友人達と会話しながら歩いてくるのが見える。


「すみません、小野おの優樹ゆきさんですよね?少しお時間ありますか?」と警察手帳を見せる。

「へ?ゆきー?何、やらかしたの?」

「違うってー!やらかさないわ!じゃ、後でね」と一緒にいた友人に手を振る。

「ここでは話しづらいと思いますので近くの交番までお願いできますか?」

「はいはい。なんですか?警察の人が突然。ゆき、何もしてなくない?」

「交番に着きましたら、詳しくお聞きしますので」


2人の刑事が小野おの優樹ゆきを囲み、交番に到着する。


「では、小野おのさん。木下きのしたさんについて幾つかお聞きします。まず、木下きのしたさんとはご友人だとお伺いしましたが間違いないですか?」

「うん、そうだよ?ゆめちゃんとは入学して最初の授業で会ったの。で、意気投合してずっと一緒」

「なるほど。では、あなた以外で親しくされていた方は?」

「ゆき以外〜?あぁ、いるよ。すぐそこのカフェの常連さん!」

「そうですか、その人の名前は分かりますか?」

「分かるよ、だってその男の人にゆめちゃんを紹介してほしいって頼まれたんだもん」

「え?男に頼まれた…?」

「うん、哉斗かなとくんに「いつも一緒にいる子を僕に紹介してほしい」って。だからバイト先を教えたの。そしたら、飛んで喜んでたよ?」

「その、哉斗かなとくん?の苗字は分かりますか?」

「うん、堂本どうもとだよ?あ!言っとくけどゆきが哉斗かなとくんと話したのはその時の1回だけだから!」

「はい。分かりました。他に知っていることはありますか?」と聞くと優樹ゆきの携帯画面が光りトークが表示される、ホーム画面には柚芽ゆめとのプリクラで次は絶対、誘うから〜!と書いてある。


「他にぃ〜ないよー!ねぇ、もう帰っていい??ゆき、この後合コンなの〜」

「合コン…ですか…それに木下きのしたさんが参加したことは?」

「ゆめちゃん?ないよ!ゆめちゃん、「今は勉強に集中したい」って毎回断るの。だから誘うの辞めちゃった」

「なるほど。ご協力、ありがとうございました!」

「え?帰っていいの!!」

「はい、今日は帰って頂いて大丈夫です。また、捜査協力頂くかもしれませんが宜しくお願いします」


用意されたパイプ椅子から立ち上がるとすぐに「もぉークタクタだよぉ〜」と背伸びをする。

「ありがとうございました」と一礼し見送る。


「って話だ。どうだ?」

「んー。友達が亡くなったのに合コンに行くんですね…」

「あぁ、怪しいが。きっと強がっているだけだと思う。でなきゃ、次は絶対誘うから〜!って書いてある一緒に撮ったプリクラを待ち受けになんかしないだろ?」

「!?そうですね…合コンに行くのは嘘でしょうし…まぁ、話聞いただけなんであれですけど」

「まぁ、嘘だろうな…次は堂本どうもとに話を聞いてみるか」

「そうですね、被害者が働いていたカフェの常連客だったようですし」

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