第4話:オーナー、交換する

4-①

 宝石展の開催から数日がたった。

 大丸屋で開催されている宝石展は、マスコミによる宝石自体の特殊性の紹介に加えて、怪盗クロウに狙われているということもあって、盗まれる前に、皆一目だけでも『ブルーダイヤモンド』を見ようとこの宝石展を訪れており、至上稀にみる大盛況となっていた。


 浅型は毎日この宝石展を訪れており、強固な警備で、怪盗クロウがいつどこから出没してもいいよう、ジロリと目を光らせていた。

「どこから来るつもりだ…怪盗クロウ…!?」


………

……


 だが、模倣犯や愉快犯はこの開催期間中に何度か現れたものの、本物の怪盗クロウが現れる兆しは全くと言っていい程ないまま、日々は過ぎ去っていったのだった。

 ※なお、全ての模倣犯や愉快犯は、『ブルーダイヤモンド』に近づくことすら出来ず、逮捕されていたことをここに示しておく。


 そして、ハロウィン前日…

 日に日に増える宝石展の訪問客に浅型が辟易としながらも、いつものように警備を行っていると、オーナーの大丸氏が声をかけてきた。

「首尾はどうですか?浅型警部」


「いまだに尻尾すら掴めていません。我々の厳重な警備に恐れをなしている可能性もあるにはありますが…ヤツのこれまでの犯行を考えると可能性は低いでしょう…必ずや明日怪盗クロウはこの場に現れると思われます。」

 浅型は答えた。


「それでは、やはり明日は計画通り?」

 大丸氏は尋ねた。


「ええ。もちろん、こちらの警備の数も大幅に増強はさせていただきますが、万が一のケースを考えて、一部の人間のみにしか知らせずに、例の場所に『ブルーダイヤモンド』を移動させましょう。」

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