第3話:探偵、準備をする

3-①

 それは世間がハロウィンの準備に盛り上がる秋…


 雑居ビルの二階に構える「明智探偵事務所」で私、明智耕助はテレビから流れてくるニュース番組をBGMに、微糖のコーヒーを飲みながら、ぼんやりとゲームの攻略本を眺めていた。


 最近の世間の関心事といえば、大丸屋の宝石展で『ブルーダイヤモンド』だとかいう秘蔵の品が展示され大盛況になっているということや、その大丸屋にクロウとか言う有名な怪盗から犯行予告状が届いたことだが、私の事務所の中は至って平和なもので、浮気や身辺調査の依頼すら全く来ない非常に退屈な日々を過ごしている。


 そんなダラダラとした一日を過ごしていた私の耳に、ニュース番組の中からハイになるニュースが飛び込んできたのだった。


………

 では、次のニュースです。

 大丸屋で、あの超人気テレビゲーム『ハイニナルクエスト』の初展示会イベント開催中!

 なんと!あの『アルコバレーノ』のレプリカもも登場!!?ハロウィンの夜には、撮影イベントも!

………


 私は持っていた『ハイニナルクエスト』の攻略本を取り落としてしまいそうになりつつ、感動にうちふるえていた。

「『ハイニナルクエスト』のイベント展示だと…?これまで幾度と計画はされてきたものの、決して実現できなかったのに、まさか…しかも、あの宝飾でゴテゴテな『アルコバレーノ』まで展示されているなんて…これは是が非でも見に行かなければいけない!」


 私は、急いで『磯スタグラム』で情報を集めると、いつ見に行くか予定を立て始めたのだった。

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