1-②
この予告状が届くや否や、オーナーの大丸氏は急いで警察に相談した。
「イタズラの可能性もありますよ、オーナー」
「我々の宝石展が話題になったことを妬んだ、他の店の仕業では?」
こういった予告状を全く本気にしていない幹部の声が聞かれる一方で、大丸氏はこの予告状が本物であると確信していた。
何故なら、これまで大丸氏が『ブルーダイヤモンド』を展示しなかった理由が、怪盗クロウに狙われる可能性が非常に高いと考えていたからだったのだ。
だが、昨今の大丸屋が長引く不況などに影響を受けて経営不振ということもあり、今回幹部たちからどうしても…ということで、仕方なく展示せざるをえなくなっていた。
「やはり、我が輩の『ブルーダイヤモンド』を狙ってきたか…怪盗クロウ…」
大丸氏は、周囲で幹部たちが騒ぎ立てる中、誰にも聞こえない程度の小声でそう呟いた…
………
通報から少し経ち、一人の刑事がやってきた。
「警視庁怪盗クロウ特別捜査班の浅型です。」
刑事は名刺を差し出しながらそう名乗った。
年齢は40前半だろうか?体型は細身ながらがっちりとしており、無精髭を生やしつつも、切れ長の目でジロリと犯人を狙うその姿は、大丸氏に頼もしさを感じさせた。
「まずは、予告状を見せていただけますか?」
浅型はそう告げて、大丸氏から予告状を受け取ると、予告状を天井の明かりへとかざした。
すると…
予告状の背景に、ぼんやりと『カラス』のマークが浮かび上がっていた。
「間違いありません。怪盗クロウからの予告状です。」
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