第2話 さっそく子供を作りましょうか✨✨💕

 ボクには、もうひとり頭の上がらない女性がいる。


 母親の西園寺陽子だ。

 幼い頃から母親の言うことは絶対だった。

 いわゆるマザコンと言うヤツだ。




 その母親がボクの部屋へ訪ねてきて、リビングへ座ると、いきなり本題を切り出した。



「カイト!! あなたお見合いをしなさい」

 有無を言わさず上から目線で命じてくる。



「えェ……(☉。☉;)!!! お見合いですか」

 唐突に、そんなことを言われても。

 ボクは面食らってしまった。

 



「そうよ……。向こうのお嬢様がカイトのことを大変えらく気に入ったらしいの」

 


「はァ……(・o・;) !! そうですか」

 見知らぬ女性から気に入られるのは慣れている。それほど珍しい事では無い。



「スゴく綺麗なお嬢様よ。ほらァ、ご覧なさい!! これが、彼女の写真」

 パッと見合い写真をテーブルへ開いてみせた。



「えェ……(´-﹏-`)!!」

 あまり見合い写真など期待はしていない。

 どうせ修整がほどこされているだろう。


 しかし渋々、写真を覗いて見ると確かに母親の言う通り目を見張るような美女だった。

 


「白鳥財閥のお嬢様、白鳥麗香さんよ。

 カイトを見初みそめたらしいの!!」



「ふぅン……、白鳥財閥のねえェ」

 道理で、母親も乗り気なはずだ。


 さすがに西園寺家も天下の白鳥財閥の前にはかすんでしまう。



「先方からどうしてもと言われて!!

 ほらァ、ウチの会社も白鳥財閥には逆らえないでしょ!!」


「うゥン……(‘~`;)!!」苦笑いを浮かべ唸ってしまった。


「取り敢えず、お見合いだけしなさい!!」

 


「はァ……(ಠ_ಠ;) !!!」

 どの道、母親の命令には逆らえない。



 諦めて見合いをするしかなさそうだ。





 ☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚





 週末、見合いの席へ向かった。



 

 白鳥財閥系列の高級ホテル一階のラウンジだ。

 ボクにとってはアウェイと言って良い。



 ホールの席は、適度に上品な客らで埋まっていた。

 約束の時間よりも、かなり早く着いてしまったようだ。

 まだ約束の時刻まで三十分近くあった。



 店内には流麗なピアノ曲が響いている。

 ショパンの『雨だれ』だろうか。


 気持ちを落ち着かせ、静かで透明感のあるメロディだ。


「……!!」テーブルに置かれたグラスに手を伸ばし、ひと口飲んで咽喉を潤した。



 待っている間、スマホで検索し改めて相手の白鳥麗香のプロフィールを確認しておくことにした。



 たいていの見合い写真は修整がほどこされているので、それほど期待はできない。



 だが、フェイスノートに載っている画像でも見合い写真と変わらぬ美しさだ。


 飾らない自然な笑顔が好印象だ。


 清楚でアイドルのように可愛らしい。


 女性のホールスタッフがグラスにミネラルウォーターを注ぎにきた。


 そう言えば、さっきから緊張し水ばかり飲んでいる。


 ちょうど約束の時刻を五分ほど過ぎた頃、彼女が姿を現わした。


「!!」


 彼女はあでやかなパステルピンクのドレスに身を包んでいる。

 まるでハリウッド女優みたいだ。

 


「あ!!」一瞬で客やホールスタッフの視線が彼女へ向けられた。


「ザワザワ……ッ」店内が騒然となった。


 圧倒的な美しさだ。

 まるで、若手美人女優が舞い降りたようなオーラを放っている。



「ご機嫌よう。遅れて申し訳ありません。

 西園寺カイトさんですね」

 白鳥麗香がボクに微笑んで声をかけてきた。

 耳に心地よく優しい声だ。



「あ、ハイ……(・o・;)!!! どうも」

 緊張して、ペコッと頭を下げる事しかできない。

 まるで幼稚園児のようなつたない挨拶だ。一気に汗が滲んできた。



「どうぞ……。し、白鳥さん」慌てて、彼女に席を勧めた。


「フフッ、麗香と呼んで結構です!!」

 ゆっくりと席に着き微笑を浮かべた。



「はァ、麗香さんですか……」

 ただでさえ、緊張するのに名前で呼ぶのは少しハードルが高い。



「フッフフ、じゃァ、カイト!! さっそく子供を作りましょうかァ……( ꈍᴗꈍ)ノ.」

 まるでゲーセンへ行って、一緒にゲームでもたのしむような口ぶりだ。




「えェ……ヾ(*’O’*)!!! なんですッてェ!」







☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る