断じて、う〇こしなくてよかったんだ!
絶坊主
第1話
先日、妻との20回目の結婚記念日を迎えた。付き合い期間も入れたら26年。
数々の試練を乗り越えて・・・ほぼ自演の試練だったけれども、気付けばそんな年月を経ている事に感慨深い思いだった。
思い返せば結婚式の1ヶ月前くらいに大喧嘩してしまった時。
「そんなんやったら、やめたらーーっ!」
と、激昂した私は思いっきり巻き舌、妻の目の前で結婚式会場であるホテルに電話を入れた。
「〇月〇日に予約しているコブシですけど、キャンセルして下さい。あーー、キャンセルで!」
ホテルの人が何度も念を押して確認するのを遮り、怒鳴るように言ってしまった。招待状も既に送ってしまっている状態。
事の重大さに、夕方、気付いた私。
「あの~午前中にキャンセルしたえれじですけど、そのキャンセルはキャンセルでお願いします・・・」
と、思いっきり吐いた唾を飲むという醜態。
そんな私だったけれど、意外な一面を知る事になった出来事もあった。
人生で一番お世話になった付き人をしていたKグループ社長のKさんが、結婚式をする前の私たちを飲みに行こうと誘って頂いた時の話。Kさんと嫁と私3人で、私も何度か行った事のあるKさんが行き付けのクラブに行った。
Kさんと私、嫁とママさん、それぞれ別個で話をしていた。
そこで、嫁から後になって聞いた話。
「私、コブシさんに怒られた事あるんよ。Kちゃんって、Kさんの事呼んでたら、「気安うKさんの事、ちゃん付けで呼ばんといてくれますか!」って。あー、Kさんとこに若いのに芯のあるエエ子が入ったんやな~って。」
飲み屋でママさんがお得意さんの事を“ちゃん”付けで呼ぶのはよくある事。それよりも、Kさんの知り合い、しかも初対面の相手に、そんなキツイ口調で言った自分に驚いた。
酒が入って酔っていたにしても、意外だった。
でも、思い返してみると、あの頃の自分はKグループに入るにあたり、私の所属しているDグループと話の行き違いがあり少しややこしくなった。
Kさんにしてみたら何のメリットもない私の為に、グループ同士の関係が悪くなるかもしれないのに私を選んで頂いた。
そんな経緯もあり、私自身、お仕えするにあたり物凄い使命感を感じていた。
変な話、飲みに出ている時、繁華街等でKさんが暴漢に襲われそうになったら、身代わりに刺されてもいいくらいに思っていた。
そのママさんが言っていた事は、酔っていて覚えていないけれど、それくらい目を三角にしてKさんの付き人という職責を全うしようとしていたんだなぁと、昔の自分が懐かしく思えた。
そんな思いで、お仕えしていたKさんを私は・・・
その後、何件目の店かわからないけれど、かなり酔いが回った状態で訪れた店でやってしまった私。その店のボーイさんが、格闘技経験者という事を聞いた私は、泥酔状態で腕相撲勝負を挑んだ。
接戦の末、破れてしまった。
「よっしゃっ!次、ワシとやろか!」
Kさんが私に言った。
Kさん自身、若い頃、アメフトをやっていて、今でも体を鍛えているから決して弱くはないと思う。
しかし、勝負に負けた悔しさで鼻息フンフン状態の私。本当だったら多少の忖度を考慮し、接戦の末、勝つか負けるべき所。いや、負けるべきところだろう。
しかし、勝負直後でアドレナリン出まくり状態の私。
「レディ~~ゴーーっ!」
「フーーーンっ!」
勝負開始の合図と共に、まるで、パッション屋良ばりの勢いで、Kさんを瞬殺してしまった。顔もパッション屋良みたいになってたと思う。
「お、お前、なかなか強いなぁ~。」
はっ!・・・やってしまってから、自分の犯した罪に気付いた私。
酒飲んでいる時に力を入れすぎると酔いが回るらしく、その後、急激に酔いが回った私。吐きそうになり、気が付くと嫁と共に店の外にある非常階段の所に座っていた。
何度か嘔吐を繰り返し私は言った。
「なんかここで、う○こしたなってきたな~。」
「いや、アンタはう○こしたないって!」
その問答を何度か繰り返したらしい。
「私、あん時、アンタがあそこで、う○こしてたら結婚してなかったわ。」
俺は、あん時、う○こしてた方がよかったのか・・・
こんな事言うから、怒られるんやっちゅうねん!
いやいや、こんなちゃらんぽらんで薄っぺらい自分と、こうして20数年もいてくれている。
断じて、う○こしなくてよかったのだ!って、どんな終わり方やねん!(笑)
断じて、う〇こしなくてよかったんだ! 絶坊主 @zetubouzu
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