入学初日4-鶴見

「さくらさんって言うんだ。素敵な名前だね。


私は密かに季節感ある名前に憧れている。さくらちゃんとか、楓ちゃんとか夏希ちゃんとかもいいなぁ。冬は冷たい印象受ける名前になりそうだけど綺麗な名前にもしやすいなって思う。雪って雪見慣れない人からすると、絶対、空を見上げるから、冷たい象徴なのに上向の心を示してるようで私は好きなんだ。

ここまで季節にちなんだ名前を気に入ってる、って話したけど千聖って名前はすごく好き。数多の知恵に支えられ、人を助けられるようにつけてもらった名前。自分より人を大事にする私のお父さんがつけそうな名前だなって、少しあったかい気持ちになる。季節の名前だとあったかい気持ちになるのも難しいよね。ん、そんなこともないか。さくら、って名前だと桜かな、咲良かな、それとも他かな。ただ、この子から儚さは感じないな。失礼だけど笑。常に強く咲いてそうだから咲良のほうかも。人の名前は愛と想いが詰まってるから素敵だ。その背景を想像するだけでもホッとする。画数診断なんて信じなさそうな、コワモテのお父さんたちがそわそわして「やっぱり違う名前にしよう」って言うのすごく微笑ましい。


「ありがとうございます。」


急に敬語…まぁ、普通に考えたら私も名乗るべきだよね。名字、できれば教えて欲しいなぁ最初から下の名前で呼ぶの私にはハードル高いよ。



「鶴見千聖と言います、面白いこと言えないけど仲良くしてくださいね。」



結局、私も敬語になっちゃった。仲良くしてくださいね、って娘を初めてどこかに連れて行ったお母さんみたいでおかしい。私にとって私は娘みたいなものなのかな?大事で心配で手がかかるからあながち間違ってないかも。

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