入学初日3‐A

「私、友達いないんだ」


友達になるってわかりにくい。付き合うとかいうのは形式上告白という通過儀礼があるから、まぁわかりやすい。友達になってください、って宣言して、ハイよろしくお願いしますってなるわけ?なんか違う気もする。たぶん、「名前なんて言うの?」とかの問いかけから入るんだろう。それでフルネームを聞いて「私、○○!△△って呼んでいい?」っていきなり下の名前で呼ぶんだ。展開早すぎかよ。ここ最近の火曜10時ドラマでももっと展開遅いぞ。最近の隔週ドラマ展開早すぎ。見てて感情移入させる時間がない。テレビ局ってお金ないのかなぁ。

いままで、友達がいなかったわけではないし、人付き合いは苦手だけど絶望的ではないと思っていた。ああ、周りの子たちのおかげで目つき悪くても許されてきたんだなぁ。新天地での高校生活あまりにも魔境でもう心折れそう。「友達いないんだ」なんていきなり言われたら絶対めんどくさい。私なら逃げる。正直重さ感じる。首にきつめのチョーカー巻いてるメンヘラ彼女とまではいかないけどそこそこの重さある。今眼前に座るこの子がメンヘラ彼女を容認する優男なみの包容力を持っていれば…ダメになりそう。ダメになんな。心を強く持て私。

でも、「友達いないんだ」って、だから友達になって?へのつなぎとしては割と普通なんではなかろうか?許されている?このきょとんとした顔、もしかしてドン引きではない?押せっ‥‥!押して捩じ込め‥!強引に‥‥‥!個人的には押せっ‥‥!落とせ~~~っ!はあまり好きではないです。


「えっと、私、佐倉って言います。見た目きついといわれがちだけどコミュニケーションが苦手なだけです。」


下の名前名乗るのは今の私には高過ぎるハードルだ…友は彼氏より重い。


「さくらさんって言うんだ。素敵な名前だね。」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る