入学初日2-B

「あの、私の顔に何かついてますか…?」


「…うん?」


いや、私も自分の顔に何かついてるって思ったわけじゃないよ…こう、なに、互いに話の切り出しををきめあぐねてる感じあったじゃん…話したいわけではないのかな。でも、この子多分、怖い子じゃないかも。あくまで、かもだけど。我が家は人をいい方向に信じやすいからダメだって、お父さんが言ってた。そう言いながらテレビショッピングに張り付いてたから説得力はないんだけど。でも、テレビの中で笑顔で商品売ろうという気概を全面に見せてる人はきっといい人だよね。「あなたの生活をより良くしたい!」って言ってたもん。間違いなくいい人。あれ、お父さんなんて言ってたんだっけ?「298?」多分違うけどまぁいいや。

困ったな、うん?って問いかけで終わられたらもう一回同じこと聞かなきゃいけない気がして…次、「うん」が「は?」に変わったら初日から教室の隅で萎縮決定、高校生活陰キャ確定だよ。いや陰キャはもういいんだけど、誰かに怯えて学生したくないなぁ。


「愛されてそう」


思ってたのと違う。あ、彼女も思ってたのと違うこと言ったなこれ。口から出たって感じ。少し可愛いかも。初対面で可愛いだなんてごめんなさい、心の中で頭下げてるからこの想い届いてください。少女漫画のヒロインみたいなこと言ってる笑。調子乗るな私。愛されてそうってつぶやくなんて、もしかしたら切迫した家庭状況なのかな…!?だとしても、私にはなにもできないよ。日本の警察は優秀だし、きっと大丈夫だよね。困った時は人に頼れって。いつも困ってるけどなかなか助けてくれる人いないじゃん、って不満は心の奥に留めておきます。

多分だけど、顔になにもついてなかったんだ。メガネしてるからかな。コンタクト買いに行こうとして、いざ入れます、ってなった時にこう、怖くて震えてお試し用三枚ダメにした時に購入を諦めたんだよ。私は目にものを入れる強靭な精神力は持てなかったみたい。あっち側の世界行ってみたいなぁ。私こんな見た目でカラコンとかに憧れあるんだよ?知らないでしょ。



「私、友達いないんだ」


ごめん、なんの話だっけ?ネットショッピング?

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