勿忘草

通行人C

第1話

私の愛していた君が、ついに花嫁となるときがきた。純白のドレスに身を包んで、幸せそうな顔をして。私は精一杯の拍手を送りながら、「おめでとう」と言った。涙が出てきそうになるのを必死に抑えながら。

告白は、何度も考えたことがあった。でも、きっと君を困惑させてしまうから、結局ずっと言わないままでいた。そのうち、君に好きな人ができて、たくさん悩んで、私はその相談にのったりして。君の告白が成功したと聞いたときは、嬉しかった反面、どうしても許せない気持ちになって、家で一人で泣いたりもした。でも、彼と付き合ってるときの君は、すごく幸せそうで。...これで良かったんだと思った。

白いドレスが似合う君。そのドレス、私が着せてあげたかったのにな、なんて思っても、あのとき告白して付き合ったとしても無理だったことは知ってるから、せめて、ドレスに似合う花を送ろうと思って、今日は花束を用意していた。想いは秘めたまま、君には分からないまま、この花に想いと願いをこめて。君の好きな水色の、私の、涙の色の花を。

「結婚、おめでとう。」

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勿忘草 通行人C @DandelionZinnia

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