生きてる意味を探す旅

morvi

第1話 流行り病

こんばんは、読者。月見 誠司だ。

 タイトルからもあるように、これを読んでくれる人はきっと人生について考えたことがある人だろう。君の考えをどうぞ教えてくれ。今から過去の俺について話そうと思う。


 ただの自慢になりそうだが、俺は、小中高となんら不自由のない俗に言う陽キャのような生活を送っていた。

 習い事は柔道や水泳、全国レベルには届かないが、県でそこそこの成績を残せるチヤホヤされてた人間だ。

 人間関係も良好、恋愛だって中学生から彼女がいない時がなかった。毎週のようにデートを重ね、彼女がいるということが最強のステータスだと思ってた。

 大学も東京の医療系の専門大学。夢もある。


"マトモニンゲン"だった。


そう、大学3年の春まではね。


【202○年3月】

なんでもない日常。大学生の長期休暇は至高の極みだった。ショートカットの可愛げのある彼女と長い長い夜を楽しみ、昼に起きてだらだらとする最高の日だ。

「もうそろそろ遠距離恋愛になっちゃうなぁ。絶対浮気とかしちゃだめだかんね⁈誠司がそれっ気あったら速攻地元から飛んでくるから!」「お前がこっちで就職してくれたら離れなくてよかったのによ〜。逆に浮気したらこっちで会えるってことか??」

「しょうがないでしょ、親が2年はこっちで働きなさいって言うんだもの。ちょうど2年後には誠司も社会人だし同棲するためにお金も貯めなきゃね。」

「同棲までちゃんと考えてくれて本当によくできた彼女だねええぇ。遠距離でもたまには会いにいくからあんま心配するなよ。」

可愛い笑顔を見せながらスマホを俺に見せる。

「見てこれ、最近話題だよねこのウイルス。隣の国でハンパ無い流行ってるらしいし、死んじゃう人もいるんだって!味覚とか嗅覚ほぼ亡くなっちゃうんだってよ。こわいよねぇ」

「人類ゾンビ化計画の一部かなんか?」

「なわけないっしょアホ。」

冷たく罵られるのも悪くない。

彼女は地元に帰り、会える頻度も減って1週間が経った。俺は彼女の代わりに友達と遊ぶ。

「速報です。数週間前に隣国で発生したウイルスが日本に上陸しました。今までにない新型のウイルスで感染力、致死率共に高いため、隔離する政策が行われていく予定です。」

テレビは俺らに熱く語りかけていた。

「これこのまま広がったら休暇伸びるんじゃね!?」俺たちは笑っていた。


そして1ヶ月が経った。

「今日の東京での感染者は1052人です。昨日に比べ300人+となりました。今月はまだ外出制限がかかる見込みです。」テレビは俺に疲れた声で語りかけていた。


そしてまた1ヶ月。電話だ。彼女からだ。

「もしもし?かのじょょょよ〜こんなに会えないのマジできついよ〜。早く会いたいなああ」


会えない分テンションは爆上げ。俺はこんな気の使い方もできるんだ。でも返事が遅い。


「......別れよ。」


「え?」






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