魔法を使わない魔女の死
ユウは思い出したくないことを思い出していい気分ではなかった。
その気分はコノハが一度指を鳴らすことで消えた。ユウは特に深く思い出せない。コノハに頼まれた話を話した。そんな感覚だけ残っていた。
「ありがとう。」
そう言ったのはコノハだとユウは思った。しかしこれを言ったのはアズサだった。
コノハは何も言わなかった。後悔はしていなかった。ただ一般的な解釈をして、心の中で苦しんだだけだ。一種の同情と言えた。
誰も何も言わなかった。沈黙が流れた。一人だけ涙を流す人がいた。しかし誰もアズサの涙には気づかなかった。
しかし難点があった。誰もその難点に気付いていなかっただけで、
ユウは30分程度話し込んでいた。そして最初の分の沈黙と今の沈黙、合わせて約20分。そう、コノハの時間はもうほぼなかった。
しかし誰もそれに気づいていなかった。1分、また1分と沈黙が続いた。気づけばまた5分が経っていた
コノハが苦しみ出して、全員が全てを察した。
んぐぅ・・あぐぅ・・・そんな声を誰も何も言わずに聞いていた。何もできないと分かっていたかつ今コノハは苦しみから解放されるための過程にいるのだ。邪魔をしてはいけない。
コノハ。
3人が口を揃えて名前を呼んだ。
コノハはきっと楽園に旅立った。魔女は救われた。死という過程を経て。
この部屋はコノハが作ったものだ。そしてこの部屋はとても上空にあった。どうやら魔法で作られたものは術者が死ぬことで消えるらしい。しかしユウはコノハの魔法で記憶を消されているがそれを思い出した様子もない。魔法というのは不思議なものだ。アズサは落下しながらそんなことを考えていた。
「これ死んじゃう??ねえ死んじゃうんじゃない??」
ユウはジタバタしていた。
「スカイダイビングってこんな感じなんだね。」
「そんなこと言ってる余裕ないでしょうがああああああ!!!!!!」
リョウとユウは喧嘩していた。アズサはそれを笑ってみていた。
「死にたくない?」
アズサは言った。
「死にたくはないよ。」
「右に同じく。」
「僕がいるのは左だよ!!」
とにかく、彼らは生きたいらしい。アズサはそれを理解した。
「じゃあ助けてあげるわ。感謝してよね。」
アズサは指を鳴らした。魔法を使ったのだ。
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