誘拐の仮説
「はーい。しゃべっていいですか」
全員が椅子に座って、その後時間を空けずユウは言った。
「僕も一つ気になることがあるね。」
と、それに合わせてリョウも口を開いた。
「わかんないけど、何となくリョウくんと僕、同じこと考えてる気がする。」
「根拠は?」
「リョウくんって頭いいと思ったけど案外人の話を聞かないんだね。」
「何となく、か。」
「そ。とりあえず話していい?」
「ああ。最初に発言しようとしたのは君だ。」
「じゃあ話すね。多分だけど、てかほぼ確実に、お姉さん?」
「お姉さんて呼ばれるのもいいわね。私はアズサっていうの。」
「うん。ありがと、でアズサさんって目が見えないって感じかな?」
「そうね。それが何かあるの?」
「うん。でまあこっから先は僕の予想ね、僕って多分めちゃくちゃ有名な魔女?あの願い叶える代わりになんか、感覚とっちゃうやつ。にまあお願いを叶えてもらってでその対価?っていうのかな、それで味覚を取られたんだ。でまあここからが予想ね、ここにいる四人ってみんな魔女に願いを叶えてもらった人たちなんじゃないかなって思うんだ。」
アズサは考える仕草をした。あくまでそれは演じられた仕草、のように見えた。しかしながら誰もアズサを見てはいなかった。
「次は僕が話してもいいかな?」リョウが口を開いた。
「いいよ、でどうだった?僕と同じだった?」
「ほぼ。まあ話そうか。ユウの仮説には僕は賛同するよ。まあなぜなら僕も同じく魔女に願いを叶えてもらった人だからだ。僕は触覚を取ることを選んだ。」
「あーー!!だから僕が何度ツンツンしても反応しなかったんだね。」
「ん?ああ。だから虫の何所が悪かったんだね。まあそんなことはどうでもいい。僕が考えていたのは仮説のその先のことだ。
例えばここには部屋が行動範囲内で5つある。この広間と、全員の個室。これじゃ圧倒的に足りないんだよ。まず排泄を行う場がない。次にこの場で食事をすることを想定されてない。とかね。でここで新たな仮説を立てた。ここが魔女によって作られた場所ってことだよ。なぜなら魔法が使えない人間が食事はともかく排泄の場の無い建物を作るわけがないと考えるからだ。」
「意識してなかったけどほんとだね、でもこの仮説って僕が出した仮説がまず正しく無いとまず成立しないよ。」
「そうだな。」
「正しい。と思うわ。」
アズサは口を挟んだ。アズサは今二人が求めている情報を全て察した上で発言した。
「私に視覚がないのは魔法によって消されたからなの。」
ユウは静かに笑った。「コノハさんは?」
「同じく。私は嗅覚を対価にした。」
リョウは頷いた。そしてこう続けた。
「じゃあ。確定的だね。」
「魔女はまだ僕たちに用があったのかな?」
「用がないのにわざわざ誘拐なんてしないだろうね。」
「誘拐。か」
男二人が盛り上がる中で、コノハは考えていた。
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