2-4 怪しい占い師と人生相談
太陽がびしっと紫外線を投げつける昼下がり、日焼け止めも塗らずにリリアンは人が忙しなく行き交う街角で怪しげな人に呼び止められていた。
「そこの修道服の娘さん」
小箱が置かれた四角いテーブルの前に座っているその人物の顔は、青の
だが、服装と声からして少女だろう。
大きなフリルの白い
とてもロマンチックで可愛い服装だった。
「娘さん、結婚の相が出ていますわよ。ただで占って差し上げてもよくってよ」
「えっ」
顔を真っ赤にしながらも真剣な
「ただということは――あなた良い人ですね」
そう言うと、少女と思われる占い師はふっと鼻で小馬鹿にするように笑った。
「良い人かはどうかは……。あなたの体型が、気に入ったので声をかけたまでですわ」
「そういう人を善人というのです」
「まあ、単に占い師の占いたがりの性ですわね。美味しい話に裏があることは、この
占い師はリボンが付けられた己の
「結婚線が太く伸びていますわね。あなた、
「やっぱりっ」
「でも、乱れているようなので、なにかしらの邪魔が入りますわ。だけど線が強いし、太陽線と呼ばれる良き線と
「では……ご相談なのですけど、この婚期を逃したくないのです。でも、夫となる人が見つからないのです。どこに向かえばいいのか分かりますか?」
「手相では、そこまでは分かりませんわよ。でも結婚線が出ていると言うことは出会いがあるということで、出会いというのは見つけたら離さないぐらいの勢いが必要ですわね」
リリアンはこくこくと頷きながら話を聞いた。
「実は、わたし、夫となる人を探しているのです。未来の旦那様なのです」
「どんな人ですの?」
「天から舞い降りた王子様のような方です」
「……詳しく聞いてあげてもよくってよ」
そう言われて、リリアンは
「一見、ワイルドな悪人のように見えますが、雨に打たれている捨て猫を拾うような優しい心の持ち主です。涼しげかつ優しい視線を放つ猫目で、
「かなりの美青年ですわね」
「いえ、美少年です」
そこまで話しながらリリアンは、少年と出会った時の感想と全く違っていることに気がついていなかった。
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