2-2 気弱な情報屋と謎のグリモワール
アベルはギルドに集う
人に察知されるほど高い気を持っている者、または完全に気を封印している者と
だが、そのどちらも
アベルはギルドの奥まで行って、突き当たりの壁を見つめた。
その一角にはベタベタと
求人や求職の紙だった。
【
その周りには【
それらを横目で眺めながら、酒を運ぶ途中の店員に
店員は辺りを見渡してから、情報コーナーの
彼は、アベルの気を浴びて泣きそうな顔をしていた。
「これを、
情報屋が、近付いてきたアベルに向かって
名札に【チェイ・リー】と書かれていた。
中華系なのに、なぜに祓え給えなのかが疑問である。
「彼に死を与えたまえ!」
震えながら
「すげー、腹立つほど嫌なヤツだな、お前」
「だって、あなた冷気が強すぎます! この僕が覚えたての
追い詰められた子猫みたいな潤んだ瞳で
「早く立ち去って欲しかったら、ミスター・グレーバーの居場所を教えろ」
「ミスター・グレーバー?
チェイはきょとんとした顔をした。
「
グレーバーが
「すみません、ちょっとワケありな新人なもので」
「新人はいらねぇ、もっとマシなのいねぇのかっ」
アベルが声を荒げると、チェイはぶるっと震え上がりながら声を上げた。
「あのっ、ミスターと呼ばれている人と、グレーバーと呼ばれている人は知っています……けど!」
「――本当か! グレーバーに会いたいんだ」
彼にしては明るい顔でチェイを見る。
「その人は、エメラルド・グレーバーです。可愛らしい
情報屋の言葉に、アベルはどっと
「……グレーバーは女じゃない男だ」
「じゃ、ミスターの方ですかね。彼が持っているのは、グリモワール《メイメイ》です」
「やぎ?」
「こういう字です……」
チェイがテーブルの上に置かれた紙にすらすらと書いていく。
【
「漢字名か」
そもそもグリモワールはアスペクト・ステップで発明されたもので、この地で使用されるグリモワールは、九割方、英字名だった。
なのに漢字名。
(怪しすぎる)
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