1-3 天然修道女、やらかす
「
背高のっぽのアパートが密集する街中で、
兄を捜して
浮遊する大地をつなぎ合わせて出来上がったアスペクト・ステップを
最初は、学者としても名高い彼女に付き添っていた者が三名いた。
だが二名が同性同士の道ならぬ恋に落ちて逃亡、残りの一名は旅の疲れが重なって入院となった。
独りぼっちになった
兄を訪ねて、この街のベル
「ベル修道院に兄がいない……では何処へ……」
青年に成長した兄が
だが、それは間違いだった。同じような名の青年がいただけだった。
今年で十六になるリリアンの家族は、もう兄しかいない。
良きことに魔法を使うよう働きかける宗教『
しかし、
女性のように細くて美しい兄の
そんな
修道詩会では魔法を生み出す『
兄もそれに関わる仕事をしているはずだった。
「……この街には、あと二つ修道院があるはず」
立襟の奥で喉を鳴らし、長い修道服の裾を翻して彼女は歩き出した。
や、歩くつもりが駆けだしていた。
実は一刻も早くベル修道院から離れたくて仕方なかったのだ。
さきほど、ベル修道院の者達は、「旅の者よ、この修道院に泊まるがいい」と彼女に言ってきた。
だが、リリアンは戸惑った。
なぜなら、その修道院は男の園で、女の園の
聖なる男達は、メラメラした目でこちらを見つめていたし、やたらに触るわ、個人情報を聞いてくるわで、少々怖い思いをした。
(此処は危険!)
ピンっと女の勘が働き、リリアンは咄嗟に「買い物に出かける」と言って修道院から飛び出した。
もちろん、男達が後をついてこないように
「わたしは女性下着専門店に、今日の下着を買いに行かねばならぬのです!」
彼女の堂々たる宣言に男達は
しかし……彼女は自分が巡らせた策に、今、まさに足を掴まれようとしていた。
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