第22話 繰り返す物語

「めでたし、めでたし。」


俺は神ダーラン教会の孤児院で育てられているウニイカ。


かっこいい勇者を目指している。


今日も僕の考えた冒険物語を、弟のカイトに話してあげていたのだ。


「ウニイカ兄ちゃん、かっこいい〜!」


弟のカイトはとっても可愛い。


なぜか、勇者じゃなくて、僧侶を目指しているところもとってもいい。


勇者が2人だと困るけど、僧侶と勇者なら一緒にパーティを組める。


「でも、いつも同じ話だから、もっと新しいお話が聞きたいな〜。続きはないの?」


俺の最高の冒険物語に不満を言ったのは、友達のノンタだ。晩御飯のおかずを増やしたいからと、自分で弓矢を作り、動物を狩ってきたりする野生児だ。


物語の続きか…。


なぜかここから先が思い浮かばないんだよな。


魔王を倒せば世界が平和になる。


それが勇者の仕事だと思うんだけど、何かが違うような気もする。


だけど、その何かが分からない。


今話したのは、確かに俺が考えた物語だ。


あれ?


俺が考えた物語だっけ?


いや、俺は本当に冒険して仲間と共に魔王を倒した。


だけど、また、冒険に出る前の場所に戻ってしまっている?


俺の冒険が、ただの作り話になってしまった?


何度も繰り返している気がする。


俺は何かを間違えたのだろうか?


誰か、俺を…いや、俺たちを…この世界を助けて!!!!

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