第16話 登山

翌日、ハクナ城の出口でナツとヤーマンと待ち合わせて、3人で【カサーブ山】へと向かう。城下町を出て2時間ほどで登山口までたどり着いた。


精霊が棲む場所は総じて場の力が強く、魔境化しやすい。【カサーブ山】も、その例に漏れず魔境だ。しかも、かなり強力な魔物が出る。


山を登り始めてすぐに、三体の『妖樹トレント』に囲まれた。


「ナツ。植物系の魔物に有効な属性は覚えてる?」


「カナ先生、馬鹿にしないでください。火に決まってるじゃないですか。魔導学校に通ってない子どもでも知ってますよ。」


そう言いながら、ナツが『火炎陣エルファイヤ』で三体の妖樹をまとめて焼き払う。


一体は正面から炎を浴びて燃え上がり、絶命したようだ。


ヤーマンが剣に炎を纏わせる魔法『炎剣ファイアフォース』を唱え、撃ち漏らしたうちの一体を焼き切る。


残る一体は、私の『破裂バースト』で粉砕した。


その後も順調に山を登っていく。


魔法は魔力を消費するが、その分、威力も高く、攻撃範囲も広いため、殲滅力が高い。


【カサーブ山】は強く、数も多かったが、ほとんどの敵は、攻撃を受ける前に倒して行った。


ヤーマンは本当にこの魔境を何度も来たことがあるようで、複雑に枝分かれする山道を迷うことなく登り、落とし穴があるような場所も事前に教えてくれながら、先導してくれた。


二時間ほど山を登っただろうか。まだ日は高かったが、流石に戦いながらの山登りは体力的にも辛く、少し開けた場所で『キャンプ』を準備し、休憩することにした。

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