第15話 準備

「美人発見!と、思ったらカナ先生じゃん。相変わらず美しいっすね!今日はどこ行くんです?」


城門の前を通った時、元教え子であり、現在はハクナ城で魔法剣士として城を守る騎士になったヤーマンに声を掛けられた。


退職した翌日、四大精霊と契約するための旅の準備のため、街へ出ていた時のことだった。


「四大精霊と契約する旅に出るのよ。今日はそのための準備に色々買いに来たの。」


「四大精霊と契約っすか。やっぱカナ先生は凄いな〜。あ、俺、風の精霊が住む【カサーブ山】には結構詳しいっすよ。とっておきのデートスポットなんです。」


ヤーマンはノリは軽いが、私が育てた生徒だけあって、魔法剣士としては優秀だ。属性も火氷雷の3つを習得していたはずだ。


それに加えて【カサーブ山】に詳しいのであれば案内役としては適役だろう。


「そう。じゃあ、案内してちょうだい」


「お!カナ先生とデートできるってことっすか?嬉しいっす!エスコートはお任せください!」


「出発は明日にするから、それまでに準備しておきなさい。あと、明日はナツも一緒よ。」


「ナツちゃんともデートできるってことですね!あ、冗談です。俺はカナ先生が一番です!」


ヤーマンの言葉を適当にあしらい、行きつけの道具屋カズコへと向かった。


若い頃は、魔力はそれこそ無尽蔵に湧き上がってきた。しかし、外見は魔法で二十代の頃から変わっていないが、魔力や体力は落ちてきている。


破裂バースト』は威力が高いが燃費が悪いため、今のコンディションで連発するとすぐに魔力切れを起こすだろう。味は苦いが魔力回復効果のある『魔法薬メンタルハーブ』を買い込んでおく。


回復が使える『治療師』や『守護騎士』もいないため、『回復薬ポーション』も多めに買った。


また、1日でたどり着けない場所にも行く必要があるため、『キャンプ』セットも必要だ。


次に武器と防具が同じ店舗で取り扱われている、モネモコとアイシャの店へ行った。


だが、武具を作るための鉱石が届いておらず、在庫切れだった。


魔法が武器になるため、武器は買えなくても問題ない。防具も、攻撃される前に遠距離から倒せば良いだけだ。


武具の新調は諦め、明日に備えて早目に休むことにした。

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