第14話 退職
「一身上の都合で教師を辞めさせていただきます。」
世界征服を決めたその日のうちに、校長であるハーモニカに辞意を示した。
「カナ先生のように優秀な教師には、もっとここにいて欲しかったが…。これからどうするのじゃ?」
「強くなろうと思っています。何かアドバイスいただけないでしょうか?」
「ふむ。今でも充分強いと思うが、更なる力を求めるのであれば、四大精霊を従えるのはどうじゃろう?カナ先生は多くの属性魔法を使いこなしているから、精霊との契約もできるかも知れん。」
四大精霊とはこの世界を構成すると言われる火水風土の四大元素を司る精霊だ。
この世界には火、氷、雷、光、闇の五つの属性がある。これは、人間が魔力を行使して現象を起こしやすいようにした結果、この五つに属性が別れたためだ。その根源を辿ると、火水風土の四つの元素へとつながっている。
例えば、火はそのまま火だが、氷は水の元素から生まれ、雷は風、闇は土の元素から生まれている。光だけは四大元素とは別の神ダーランの加護による力と言われている。
これに加えて、どの属性にも属さない無属性があり、これら6つの属性を六大属性と呼んでいる。
そして、多くの魔法使いが、六大属性のうち一つか、多くても2つを習得する。
一部の天才のみが3つの属性を扱うことができる。
私は火氷雷と無属性を操ることができるため、四大精霊のうちの三柱までは契約できる可能性がある。
だが、闇属性の源である土の精霊と契約できる自信はなかった。
なぜなら、闇属性を扱うためには、心に闇を抱える必要があるからだ。
心に一欠片も後ろ暗い気持ちのない、清らかな心を持つ私にとって、闇属性だけは非常に相性が悪いのだ。
だが、世界を私の理想に近付けるために、心を闇に染める必要があると言うのなら、いつかは、挑戦しないわけにはいかない。
その時が来るまでには、覚悟を決めておく必要があるだろう。
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