第10話 初勝利

何とか屍鬼を倒すことができた。


今日はもう帰りたかったが、モララーは許してくれない。


この鉱山の魔物を全滅させるつもりのようだ。


屍鬼自体は強くはなく、元々血が流れていないのか、切っても血が吹き出したりはしなかった。そのため、倒すことにも思った程の抵抗は感じなかった。


背後から気づかれる前に切りつける方法も、何度も挑戦するうちに慣れてきた。


仮に気付かれたとしても、相手がこちらを攻撃する前に、一撃を決めれるようになってきた。


敵が数体固まっている場合は、モララーが的確に敵の攻撃力を落としてくれるため、安全に進むことができた。


途中で一度、屍鬼の爪が掠ってしまい、毒をもらってしまった。モララーが『毒消し』を渡してくれたが、実戦では初めてだけど、『消毒キュア』の魔法を自分自身にかけてみた。


毒による気持ち悪さは、すっと引いた。魔物との戦いの中で、僕の魔力も向上しているようだった。


順調に屍鬼たちを倒しながら進む。たまに犬型の不死族『屍犬ゾンビドッグ』が出てきた。屍鬼よりも素早くて毒を持った牙にも注意しないといけなかったが、ここまでで師匠との連携も形になってきており、問題なく倒すことができた。


坑道は、ほぼ一本道だった。そして、何度目かの曲がり角を曲がった先にそいつは居た。


「あれは『岩人形ロックゴーレム』だな。武器屋の話だと、あの先に鉱石があるはずなんだが。あれを倒さないと進めないようだな。」


岩人形の身長は、背の高いモララーよりも更にふた周りほど高い。僕の倍くらいはありそうだ。


何より、体全体がその名の通り岩で出来ている。僕の『ショートソード』による攻撃が通じるのだろうか?


体力や魔力にもまだ余裕はあるが、気力がもう限界だ。


「師匠…。今日はそろそろ帰りませんか?」

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