第5話 古代遺跡の異変
「2日ほど前にも【マタタ古代遺跡】の調査に行っていたのだ。」
「師匠はひとりで調査に行っていたんですか?」
「ああ。あそこは魔境じゃないからな。そんなに危険はない場所のはずだった。
『ドローン』と呼んでいる空を飛ぶ小さな機械が飛んでいることはあるんだが、滅多なことで人を襲ったりはしない。基本は放置だ。
ごく稀に『ワーカー』とか『セキュリティ』というタイプの人に近い形をした機械人形が襲って来ることがあるんだが、これまでの探索で襲われたことなど、この20年で数えるほどしかなかった。
だがな、二日前は違った。
【マタタ古代遺跡】に入ると、何十台もの『ドローン』が、一斉に襲って来たのだ。『ワーカー』や『セキュリティ』も混ざっていた。
その時、『雷の魔石』を投げつけ、命からがら逃げ帰ったわけだ。
『雷の魔石』は発掘した機械の起動に使えるからな。普段から調査の時には持ち歩いていたから、助かった。」
何ということだ。
魔境じゃないなら、いつか僕でも色々調べたりできると思っていたのに。これでは、観光気分で行くなんてできないだろう。
「ちょっと待ちなさい。あなた、そんな危険な所に、子供を連れて行こうとしてたの?」
「こいつは回復魔法が使えるらしい。1人での探索で危険なのは怪我をして動けなくなってしまうことだ。昔は相棒がいて、調査するときは必ず2人で行っていたんだがな。」
いつもニヒルな表情のモララーの顔に、一瞬影が指したような気がした。
「その相棒の人はどうしたの?」
「あいつの事はいい。とにかくだ。回復が使えるウーヤンに加えて、『雷の魔石』を大量に持っていけば何とかなるだろう。
暴走している機械どもを故障させ、魔境化した原因を突き止めるんだ。」
「う〜ん。まったく賛成できない計画ね。でも【マタタ古代遺跡】がそんな状態のままだったら、私も困るのよね。あなたがたまに持ち帰ってくれる『燃える水』が、魔法薬の調合に便利だったのよ。
分かったわ。ツケで良いわよ。『雷の魔石』を持って行きなさい。
でも、2人とも魔境に行くような装備じゃ無いわね。せめてちゃんとした武器や防具を身につけて行きなさい。」
「もちろん、そのつもりだ。確かこの店の裏に、武器と防具を扱う店があったな?そこで一式揃えてから行くつもりだ。」
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