外
1日ぶりの外は少し暖かくなっている気がした。
近くのスーパーに来た。
人が多くはないけど、いた。私はどう思われるんだろう。子供が平日の日中にこんな所にいるのは変に思われるかな。それとも主婦に見えるのかな。
あの人の家に足りない物をかごに入れていく。
「あー、ちょいちょい奥さん」
誰かが呼ばれている。
「…………」
「奥さん!」
後ろから大声が響く。私は振り向いた。
「な、なな、何でしょう」
海鮮売り場のおじさんが話しかけてきたみたいだ。
「このハンカチ、あんたのかい?」
「い、いいえっ」
急いでその場を離れた。
私は買うべきものを買って、足早にスーパーを出た。重くなってしまった荷物を持って来た道を戻った。
マンションのオートロックに802と入れる。
けど、なんだか緊張して呼出のボタンが押せない。あの人の邪魔になるんじゃないかな。私、あの人の家にいて良いのかな。
でも、もう決めた。あの人がダメと言うまであの家にいる。
いっか、押しちゃえ。
『おかえり』
オートロックからくぐもった声が聞こえる。彼は私を迎えてくれた。
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