掃除
「あの、料理だけじゃなくて、掃除とかもやらせてください」
うまい昼飯を食べた後、彼女はそんな事を申し出た。俺が選んで買った服を当たり前のように着ていて、可愛いと歓喜したが、同時に罪悪感のようなものも感じた。
「いいぞ」
俺は即答した。
ただ、最初は何をどこにしまったか把握するため手伝うことにした。
まずは廊下に落ちている有象無象。彼女はテキパキと動いて素早く仕事を終わらせた。無造作に投げ捨てられた服は洗濯機へ、紙屑はゴミ袋へ、雑誌類はひもで縛って物置へ。とにかく早かった。俺は薄茶の髪を追いかけているだけだった。
彼女はそのままリビングやキッチンの掃除も終わらせた。ただ見てるだけとなった俺に
「今から雑巾がけなので、テレビ見ていても良いですよ」
と言った。確かに、ただ邪魔になるだけなので退散した。俺がやったことと言えば、洗濯物を干しただけだ。
視界の端に彼女が映る。見てるだけで楽しいが、それと同時にやはり罪悪感を感じた。
「仕事部屋はやらなくて良いからな」
仕事部屋の扉を見つめている彼女に声をかける。
「は、はい」
そう言ってリビングに戻ってきた。
「終わったのか?」
「そうですね。今から晩ご飯作りますね」
「おう……何か手伝うぞ」
俺は罪悪感に終止符を打つため、キッチンに向かった。
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