第27話
「――ざっとこんなもんか」
戦闘を終えて手裏剣をインベントリに収納しながらマコが戻ってくると、装備する武器を先ほど背負っていた大太刀に戻した。
「とりあえずこれがパリィとクイックステップを使った戦い方だけど……どうだ、やれそうか?」
「んー……どうだろう。なんとなくやり方は分かった気もするけど、実際にやってみないとなんとも言えないかな」
「まあ、その通りだな。んじゃ、さくっとスキル覚えて練習に入るとするか。もうスキルツリーは解放できているんだろ?」
「うん、合流する前にレベル15に上げてきたから。でもなったばかりだから、まだ何も手をつけてもないんだけどね」
ソウジンは苦笑を混えつつメニューを開き、新たに解放された[スキルツリー]をタップする。
出現したのは、円形のアイコンが樹形図のように連なる画面だった。
「うわ、まっさらなスキルツリーとか懐かしいな。最初はこんなんだったなあ……っと、それよりもスキル解放だな。真ん中に1個だけ光ってるアイコンがあるだろ? まずはそれに触ってくれ」
「分かった」
言われた通りに数ある円形アイコンの中で唯一光っているものにタップしてみると、新たなウィンドウが現れて[獲得するスキルを選んでください]とメッセージが表示された。
メッセージの下にはカテゴリ名が書かれたタブが幾つか用意されており、中にはそれに関連するスキル名がずらっと並んでいる。
スキル名の表記は全て灰色で書かれているか、黒文字で[?????]となっているかの2通りに分かれている。
「これがスキルツリーで獲得することのできるスキルの一覧な。灰色で書かれているのは現時点で獲得できるようになってるやつで、解放したら白文字に変わる。んでもって、黒文字のクエスチョンマークはまだ解放条件が達成していないやつ。こういうのは基本的になんかしらの上位か複合スキルだから、そいつの下位に当たるスキルを獲得していればスキル名が出てくるようになるぜ」
「なるほど。ところで、この左上に書かれている20って数字は?」
ソウジンが指差したのは、画面左上に表示されている小さな枠。
枠の中には[SP20/20]とある。
「それがスキルポイントだ。スキルはこいつを消費することで獲得できる。今はあまりポイントを使わなくても入手できるけど、性能が高いスキルになっていくのに比例して要求値も高くなるから、調子に乗って取りすぎには注意な」
「うん、気をつけるよ。それで、次はどうしたらいい?」
「この中からパリィとクイックステップを見つけ出す。つっても、こんだけ膨大だと見つけるのも一苦労だけど、そこは検索機能を使えばいい。右上の虫眼鏡マークがある窓は文字を打てるから、そこにスキル名を入力してくれ」
「了解」
早速、検索窓にパリィと入力してみると新たに画面が現れて、検索した内容に一致するスキルが2つ表示されていた。
1つは[パリィ]で、もう一つは[?????]と書かれた黒文字だった。
「お、出てきた。これを選べばいいの?」
「ああ、選ぶと獲得するか確認してくるから、はいをタップすれば晴れてスキル獲得完了だ。そしたら同時にシステム上のアシスト機能が働いてスキルの発動方法がなんとなく分かるようになるから、後はその感覚に倣って動けばスキルが発動するようになる」
「へえ、そうなんだ。発動のやり方まで教えてくれるなんて親切設計なんだね」
「そりゃ、一昔前みたいにボタンを入力すれば勝手に動いてくれるわけじゃねえからな。やり方が分からないでスキルが発揮できなくなるのを防ぐ目的があるんだろうぜ。実際に体動かすのは俺たちだしな」
「言われてみれば確かにそうだね。よし、それじゃあ覚えちゃうね」
指先で[パリィ]の文字に触れると、[スキルを獲得しますか?]と確認の画面が出てきたので[はい]をタップする。
途端、敵の攻撃を完全に受け流すイメージとそれが発生する時のタイミングが脳裏に浮かんできた。
さながら天啓が降りてきたかのような慣れない感覚に思わず「おおっ」と声を上げる隣で、マコはくつくつと喉を鳴らしていた。
「最初は驚くよな。俺もそうだったから分かるよ。けどまあ、スキル獲得していく内にじきに慣れるさ。じゃあ、さくっとクイックステップも覚えて試運転と行こうぜ」
「そうだね。ちょっと待ってて、すぐに終わらせるから」
先ほど同様、スキルツリー画面を操作してクイックステップを獲得するのだった。
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