エピローグ
それから、世界は平和になった。てか、俺が来た時から平和だった。いつもと変わらないそんな世界に俺は、村人の農作業や町の治安を守る仕事しながら生活をしている。そのおかげで周りの人からの評価も上がってきた。今ではゴミを見るような目で俺を見る女の子も少なくなってきている。でも、まだ話しかけると睨まれる。ぴえん。
それに冒険の後からは、ハープ、シャル、ガルドと交流が深まった。前はクソカスゴミ野郎だと思われていたが、今は少し見直されクソ野郎までの地位に昇りつめたらしい。普通の人として扱ってもらえる日は来るのだろうか。
そんなことを思いながらも俺は毎日の日課となった鍛錬を行う。もし俺よりも強い魔王が生まれたとしても対応できるようにするためだ。でも、前みたいなことになるのは絶対に嫌なので、少し手を抜いている。
そんな生活を続けて数日。
寝ている俺のもとに
「目覚めなさい、目覚めなさい。選ばれし勇者よ。」
う~ん、後5分眠らせてくれ。
「いいからさっさと起きろや。」
「すみません」
目にも留まらぬ速さで正座する。鍛錬していた成果が今発揮された。
「起きましたか。久しぶりですね、勇者よ。」
「あっ、女神様じゃん。お久しぶりです。」
「勇者よ、よく復活した魔王を討伐してくれました。しかも、封印ではなく本当に討伐するとは。素晴らしい成果です、誉めて遣わします。どうやら、貴方は前の勇者よりも優れていた才能を持っていたようですね。」
そう言われると気になったのが
「前の勇者はどうなったんですか。急に入れ替えたりして大丈夫なんですか。」
「ああ、前の勇者は死にましたよ。」
何サラッと言ってんの?
「貴方がその体に転生する前に死んでましたよ。まあ、確かに恨まれるようなことをたくさんしていたようですからね。」
「じゃあ、死因は…」
「ええ、腹上死です。」
えぇ、そういう死に方?ドン引きなんだけど
「ちなみに、前の勇者も転生者ですよ。」
マジかよ、転生した奴の体に転生したのか俺。
「ええ、体がたまたま開いていたので、そこに魂を突っ込みました。リサイクルですよ、リサイクル」
人の体をゴミみたいに扱うんじゃない。
「で、なんの用ですか?」
「ああ、そうでした。今日は今回の偉業を誉めにきたのです。その偉業に免じて魔王の封印を解いたことには目をつぶりましょう。」
バレてたのか、俺死ぬとこだったじゃん。
「これからの活躍も期待してますよ、勇者カリバーよ。」
そう言って女神様は消えていった。俺は女神様が言った言葉を思い返す。
“これからの活躍も期待してる”ってことはこれからも何かあるってことだよな!!
期待していいよな!!俺、ワクワクすっゾ!!!
これからの出来事に胸を躍らせながら俺は眠りについた。
勇者に転生したら、既に魔王を討伐した後だった。 小説 書蔵 @nubesuko16
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