第2話 予想外の一撃
「え?なんでジャングルジム?」
その女性を見て最初に俺が発した言葉だった。
「う、うるさい!ここら辺であんた達を見下せるところがここしかなかったの」
さっきまでの張りつめた雰囲気が一瞬にして壊れた。この人は安全な人だと俺らに安どの雰囲気が流れた途端その女性は俺らをにらみ言った。
「勘違いするなよ、しゃべっていいとはいってない勘違いするなよ」
まるで金縛りにあったみたいに動けなくなった。恐怖といえば簡単かもしれないが、それよりも言葉では表せない別の何かがあった。
「私は聞いているんだよ、あの化け物を倒したのはお前かと」
(まずいな、ここでなにか下手なことを答えたら何をされるか、、、)
「沈黙は肯定と」
俺はそのセリフが言い終わる前にさえぎって言った。
「ああ、俺だあの怪物を倒したのは」
(正確に言えば俺ではないが、いったん零に奏雨を安全な所へ)
「ほお、面白いな 上からは止められているがちょっとくらいデザートでも食べるか」
そう最後の単語が口から発せられた瞬間そいつは俺の前に飛んできた。
「!?!?!」
俺の理解が追い付かないまま、腹に痛みがあるのだけはわかった。殴られたのだ。あの俺の前にきた瞬間に、このスピードはあの怪物をすぐに倒した零でもすぐには反応できなかった。
「快晴様!!!」
快晴の体が殴られた反動で後ろへ飛び、謎の女は二発目を入れるため快晴を追尾する。零に二つの考えがよぎる。快晴を追い助けるか奏雨を安全な所へ連れていくか、しかし零は気づく。どちらも自分なら同時にこなせると。零は奏雨を安全な所へ運んだ。この間一秒にも満たない。次に零は謎の女のもとへ飛んだ。
「おいおいこんな攻撃も捌けないのか」
謎の女が快晴に二発目を打ち込もうとこぶしを握った。
「こんなんじゃお前に価値はない たまたまだったみたいだな」
女は快晴を殴ったように思われたがその拳は途中で止まっていた。
「快晴様をこれ以上傷つけるな」
「なるほどね お前か怪物を倒したのは しかも女を安全な場所においてから来たか」
「れ、零か ありがとう」
「大丈夫ですか快晴様」
零が倒れた快晴のもとへ駆け寄る。
「俺は大丈夫だから、あいつを」
「了解しました」
「後ろがら空きでっすよ」
後ろから女が零を攻撃するが、零は難なく受け止める。
「あなたは主人の命令により倒します」
「いいねえ さっきよりも大きい闘志」
零の両腕が刀型の水でまとわれる。
「こい!フルスコア!」
女がそう叫ぶとジャングルジムの上に置き去りにしてあったライフルが彼女のもとに飛んでくる。
(あいつの武器は大きい銃 なら近距離戦に)
(近距離戦ならと思っているだろう、なら)
零が一気に飛び出すがそれと同時に女は後ろへ飛ぶ。(やっぱりね飛び出してきた)
(鬼ごっこというわけですか)
「甘いなお前もこれで終われ」
ライフルから五発の銃弾が発射される。
(五発、これなら)
零は飛んでくる玉をそれぞれ両手剣で対処していく
(よしこれでっ!?!)
対処したかに思われたが零の背中に痛みが走る
(ま、まさか追尾弾)
「だから甘いんだ」
追尾弾に対応するため零が後ろを向く。
(残り四発なら)
「水力壁!!」
零が地面に両手をつくと、地面から水の壁があらわれる。
「銃弾は水の中だと威力が弱くなります」
追尾弾が零を目掛けてくるが全て水の壁で速度を失った。
「だからー後ろががら空きだって」
両手をつき銃弾に対応してた背中に女が攻撃しようと腕を引く、女に予想外なことが起こる。
「俺もいるぞ」
快晴が女に向け砂を投げつける。
(くっそ、この体制じゃよけられねえ)
砂が女にかかり視界がなくなる
「今だ零!」
「感謝します快晴様。
再び両手が水の剣でおおわれる。
(ま、まずいこのままじゃ)
目を瞑り無防備な女の体へ、零は腕をクロスさせ一撃を放った。瞬間、衝撃で風が巻き起こり、零の髪が揺れ快晴は飛ばされそうになった。
「いや~今のは効いたよ 強いね君たち」
「う、嘘だろ今ので」
「申し訳ありません快晴様」
快晴と零は同時に気を失った。
「ありゃりゃやりすぎたな 入団試験なのにやっちまった」
「お兄ちゃんたちは無事なの?」
「あら妹さんか悪いが家に連れてってくれないか?訳は話すから」
(ん、、ここは)
「奏雨、零は!大丈夫か」
俺は急いで体を起こす、するとそこは自分の部屋だった。
「あらようやく起きたか」
最初に反応したのはあの憎たらしくもある声だった。
「お前、何で俺の部屋にいるんだ」
俺は体制を整えようと体を起こすが、痛みが走る。
「無理はするなって私が悪いのか 大丈夫私は味方だ」
「味方って、、信じられるか」
ピリピリした空気が俺の部屋に流れる。
「
「奏雨この女は本当に味方なのか?」
「あー道理でこんな空気なんだ。当たり前でしょ恵海ちゃんはESPだもん」
「ESPってあの!?じゃ、じゃあなんで俺らをってか零は」
「落ち着け快晴 私は君達を試したんだよ そんであまりにも強かったからついこっちも本気でね」
「試したってなんで」
「そりゃあんたらをESPにスカウトするためさ それとはいこれ」
恵海はそう言うと何かを投げた。
「なんだこれ?ジェルボール型の洗剤?」
「ああそうだ 零があんたにって 多分あんたの電気をそれに流せば零がでてくるってことだと思うぞ」
「零、、、ごめんな無理させて」
俺は洗剤を見て言った。
「それよりも私が気になっているのは君の能力の事だ」
恵海が奏雨の焼いたクッキーを食べながら話す。
「あの怪物を倒したのは零だが、その零を生み出したのは君の能力だろう?それについて詳しく」
「詳しくって言われても、、、あ!俺より知ってそうな人がいる」
俺もクッキーを食べながら答える。
「ヘイ!snow」
俺がスマホに向かって言う。
「ご用件はなんでしょう?」
「俺の能力について詳しく聞きたい」
「かしこまりました」
「おい、本当に知ってるのか?snowなんて誰のスマホにもついている機能だぞ なんか声は違うが」
「舐めないでください私はそこらへんのsnowより高性能です では説明します
快晴様は発電式では能力なしという凄い珍しい結果になりただの不便な人かと思ったけど、それは今までにない能力が快晴様にはあり発電式で使われた機械に反応はなかったのでしょう そしてその能力というのが、電子機器や家電を擬人化させる能力でありその能力によって人になった子も能力を持っているのも特徴です」
「なるほどなでも何故そんな能力が快晴に?」
「それは知らないです」
「ありがとうだいたいの事は分かった 快晴やっぱりうちに来い」
「お兄ちゃんが能力持ってて、ESPにスカウトされてる~すご!!」
「ぼ、僕で良ければ力を貸します 入った後もあんな怪物と闘うんですか」
「いや基本的な事は能力を使い犯罪を犯している者と闘っている 今回のは初めてだ」
「なるほど、でも僕格闘技とかもやってなかったんで弱いですよ?」
「ああ、それは知ってる だから訓練という言葉がある しかも、零の強さは恐らく君の精神面に少し影響を受けている 君が気絶したら零が気絶したようにね」
「訓練ですか学校は?」
「君の要望なら通っても大丈夫だ しかし見張りがつくかもね」
「分かりましたESPに入ります」
「なら一週間くらい今日の騒ぎで学校はないはずだから、明日迎えに来るね 本部に行こう」
そんな会話がありクッキーを全て食べた後、恵海は帰っていった。
「それにしても今日はすごい一日だったな」
「そうだね、、、」
「奏雨どうした?」
「あのね、お兄ちゃん ESPに入るのはいいけど無理だけはしないでね」
「ああ、わかってる俺はどこにも行かないよ」
~翌日~
「行く準備はできたか?」
「はい行きましょう」
「いってらっしゃいお兄ちゃん」
「行ってくる」
俺は恵海と一緒にマンションの前に止まっていた車に乗った。
「これからどこに」
「まあ落ち着け、ゆっくりしてろ」
俺と恵海を乗せた車は一時間近く高速を乗ったあとに目的地に着いたのかスピードを落とした、車に乗っていた間、会話はなかった。
「ここって」
着いたところは大きい看板にイルカのマークが描かれてあった。
「水族館だ行くぞ」
何も分からないまま水族館に入場した。様々なコーナーを通り過ぎ、深海生物のコーナーにつく。いっぱい置いてある小さい水槽の中に深海生物がそれぞれに入っている。その中で最初から三番目の水槽の前で恵海が止まる。
「ここだ」
「え、ここってただの水槽の前ですよ」
恵海が水槽に添付しているその魚の解説ボードに右手を添える。
「認証完了」
水槽から音声が聞こえ水槽下の壁だったスペースがゴゴゴと音を立てながら開く。
「おい今回は客がいる」
「かしこまりましたってえ!?恵海が客を!?」
「はやく」
「わかったから」
「快晴行くぞ」
「は、はい」
(説明欲しいんだけどな)
俺は恵海の後をおい壁が開きあらわれた階段を下った。
下った先にエレベーターがありさらに下へ行った。
エレベーターの扉が開いた。目に飛び込んで来たのはまるで高級ホテルの廊下のような景色だった。個室が多くあり一番奥には大きい扉があった。少年心をくすぐられワクワクした。エレベーターから出ようと足を踏み込んだ瞬間女の人の声がした。
「めっぐみー--」
とある女の人が恵海に抱きついた。
「お客を呼ぶなんて珍しいね~彼氏なの?気になってるの?好きなの?」
「うるさいこいつはスカウトしてきた唯の新メンバーだよ」
「なんだーつまんない」
「あの誰っすか?」
「あ、ハロー君が新メンバーだね 私は二ノ宮
「あ、僕は紫雷快晴です」
「知ってる知ってる 女の子にお姫様抱っこされながら戦ってたもん」
「みてたんすね」
まさかのことに恥ずかしくなる。
「てか、鴨嘴って何ですか?」
「え?快晴君知らないの?」
明梨がぐっと顔を近づけてくる。また別の意味で顔が赤くなる。
「ちょっとー恵海、説明しろって言ったよね」
明梨が顔を膨らませながら恵海を見る。
「聞かれてない」
「聞かれてないじゃなくて、説明するんです~」
恵海のほっぺをつねりながら明梨が怒る。
「ごめんね快晴君 鴨嘴っていうのはねESPの中でも能力を使った戦闘組織のこと!本当に選ばれたメンバーしか入れなくて君を合わせて九人だね だから快晴君はすごいんだよ しかも恵海にスカウトなんて」
「そんな凄いのは僕じゃなくて零ですから 鴨嘴ってかわいい名前ですね」
「リーダーがね可愛いもの好きだからこの名前になったんだ~」
「あ、あと質問なんですけど、発電式にいたESPの人たちは能力持ってないんですか?」
「うんその人たちは一般兵だよ 何年も安全な式だから大丈夫って思われてたから私たちじゃなくて彼らが配属されたんだよ そもそも鴨嘴に選ばれるほどのメンバーなんて稀だからね」
恵海に教えてもらえなかったことを明梨に親切に教えてもらって歩いていると大きな扉の前に来る。
「ここが我らESPのメインルームだよ オープン!」
明梨が思いっきり扉を開ける。そこには高級ホテルのエントランスくらいの広さに多くの人がバインダーやファイルをもち忙しそうにしていた。
「すげえ 水族館の地下にこんなのが」
「すごいでしょ?じゃあ次はこっち案内ってあれ?」
明梨が色々なところを紹介しようと思った矢先
「お前はこっちだ」
快晴が恵海に引っ張られ訓練所に連れていかれた。
「あーちょっと待って明梨は訓練しないけど私も行く~」
何もないただの白い壁と床の訓練所につき快晴はぼやいた。
「訓練って言っても何するんですか」
「簡単だ対人シミュレーションをただひたすらやるだけだ」
「うはー酷だね素人にこれやらせるなんて」
「鴨嘴に参加するには越えなくてはならない」
「おれやってみます!」
「快晴君かっこいい~」
「ではスタートだ」
白い部屋に一人の人型人形みたいなのがでてくる。(まずは様子見だ間合いを測る。あっちから来る気配はない)ならと、俺は一気に飛び出す。右ストレートを打ち込もうとするが、簡単に避けられる。
(くっそ無理か)
避けられた隙に相手の蹴りが顔面にクリーンヒットする。体が横に飛び壁にぶつかる。
「くっそが」
「んーやっぱり戦闘に関しては初心者だね快晴君 基本的なことから教えてあげればいいのに」
「いや今はこれでいいスキーで言えば転ぶ練習しているような感じだ しかもあいつがこれで終わるわけがない」
「ずいぶん肩を持つね」
「ああ、一泡いや一砂かけられたからな」
「ふーん分からないけど多分間違ってるしうまく無いよ?」
(工夫しないと訓練用にも勝てないか、だったら)
俺は立ち上がり左ポケットを確認する。俺はさっきのスピードよりかは遅く人形に近づく。しかし、同じように右ストレートをうつ。人形はさっきと同じようかわしカウンターの蹴りを入れようとする。
(かかった、さっきみたいな勢い任せじゃない余裕はある)
俺は左手で蹴りを受け止め体をひねり全身の力を使い後方へ投げ飛ばした。だが、人形は壁を蹴り加速し近づこうと空中で体制を整える。
(まだだ、やっぱり)
快晴は左ポケットからスマホを取り出し叫ぶ
「snow ver.Ice」
するとスマホの画面が回転し前に出て、後ろには持ちてとトリガーがあらわれる。
「いっけえええええ」
思いっきりトリガーを引く
そして人形が壁に足をつけ快晴を見ようとした瞬間、無数の銃弾が人形にあたった。
人形は倒れ床に落ちた。
「恵海、武器は無しって言われてないです」
「ほらな明梨、快晴は面白い」
「だね、恋しちゃうかもだね」
「な、何言ってるんだ明梨」
「いやいや、さっきの目恋する女の子でしたぞ~」
わいわいと遠くで騒いでるのが聞こえる。無視されたが不意打ちがあるのが戦いだもんな、とりあえず人形倒せてよかった。俺は安堵感と疲労感で体に力がはいらなくなり倒れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます