想い出

千恵花

第1話 出逢いの時

あなたに出逢ったのは

遠い遠い過去

どんな顔だったのか

どんな声だったのか

今は

曖昧な記憶でしか思い出せない



友達に行こうよと誘われたから

仕方なく行った喫茶店

ちょっぴり薄暗い

お店の端っこのテーブルから

手を振る二人の男性の姿が見えた


「あっ、こっちこっち」

友達は私の手を引いて

そのテーブルに向かって歩いて行く

テーブルの前に立てば

「君の言うすれ違う女性とは

彼女で間違いないよね?」と

一人の男性に聞いていた

その人は恥ずかしそうに頷き

私を見て

「どうも」と笑った


私は訳もわからず

戸惑いながら

彼の挨拶に

「どうも」とだけ

答えるのが精一杯だった

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