第5話僕の変身

僕は登校中に、神社に寄り願った。

彼と仲良くなれますように、と。

僕は今までとは違い、髪の毛を整えて、授業中以外ではメガネを外す事にした。コンタクトは来週、買うつもりだ。そして、謎の香水を付ける。

ほんのり、甘い香りがする。

僕が教室に入ると女子が駆け寄ってきた。

和田ユミという、うるせ~ブスだ!

「吉田~おっはよ~」

と、肩にぶら下がって来たので、裏拳で成敗した。

「あばばばっ。何すんだ吉田~。かっこつけやがって!まさか、わたしの事狙ってるの?いいよ!鬼のように突き上げて」

僕は、和田の首を絞めた。

「ぎ、ギブ、ギブッ!」

「ブスは黙ってろっ!」

なんて、朝からテンションの高いブスなんだ。

僕は福満の登校を待っていた。神様は昨日、福満と仲良くなれるっていたからな。わっ、どうしよう、ドキドキする。


「おはよ~、あらっ、吉田君、雰囲気変わった?寝癖じゃないし、メガネ外して、それにいい匂いがするね」

コイツは田中美樹。男子の間ではキャサリンと呼んでいる。巨乳だからだ。

「ち、ちょっとイメチェンしようと思ってね。だって将棋部って暗くて、ださ~いイメージがあるでしょ?」

「あ、まさか~、彼女出来たか、恋しちゃったのかな?」

「ま、まぁ」

「全然、昨日と違って、カッコいいよ!吉田君。せいぜい、彼女と楽しむがよい!ワハハハ」

何なんだ、この学校は。ここは、特進クラスだぞ!バカばっかりだ。


キャサリンの言っていたことは当たってる。僕は恋をしている。だけど、相手が福満洋一だ。僕は先ず、福満の恋愛関係を知りたい。彼女がいるなら、諦める。

……あらっ。ここは特進クラスなのに、周りがバカに見えるのはあの若い学問の神様の力なのか?

いやいや、これは錯覚だ!

まだ、彼は来ない。

僕の席は一番後ろの窓側。正門が見える。ここから、彼が現れるのを確認出来る。

「やい、吉田!小テストの宿題見せてよ」

「うっせ~な~、ブス!てめえは、何で特進クラスにいるのかが分からん」

「ふんっ、文系で7位取ったからって、威張るなよ!次のテスト覚えてろよ!早く小テスト見せろよ!」

「ブスにはオレのフェロモンに気付かないのか?」

「どれどれ」

和田は僕の首筋に近づき、匂いを確認し始めた。

その時、だった。

「朝からお熱いですな~、吉田君」

しまった~、福満洋一がちょうど教室に入ってきたのだ。

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