第2話縁結びの神様
僕は福満洋一の綺麗な指先が忘れられない。福満はスポーツは出来るし、学年成績は252人中7位であった。38位の僕は彼のトップレベルの上の中の下だ。
元々、僕は女の子より男の子が好きであった。変な意味はなく、野生児の僕は魚釣り、山遊びなど男友達で遊ぶのが好きだった。
中学生の頃、僕には池田あかねと言う彼女がいたが、彼女とは手を繋ぐ事もなく、別れた。
それが、前兆だったかもしれない。うちの大田口高校は1年次には文系、理系の振り分けは無く1年の選考テストと教師との面談で2年生から振り分けられ、3組が特進クラスなのだが、僕は普通の組に落っこちた。
再びトップクラス分けの時に、ようやく特進クラスの仲間入りになったのだ。その時の順位はギリギリ10位だったのだ。
その特進クラスに二年生次から君臨していたのが福満洋一だった。しかし、彼には彼女はいない。福満は事あれば僕に相談してくる。
「この前、3年の女子にコクられたんだけど、断わった。いいよね?純也君」
「ま、恋愛は自由ですからな~」
そんなやり取りして、3年次特進クラスで新しく仲間入りした僕を皆に紹介してくれた。
こんな事があった。体育祭の練習で制服から体操服に着替える際、福満は僕の身体をペタペタ触り、
「へぇ~、純也君って、がたいいいね」
「そ、そうかな?」
と、下らない話しをしていたが、僕の胸はドキドキさせていた。
『ま、まさかっ、福満を意識してるのか?僕は正常な男だぞ』
その一件から、福満対して恋愛感情が少しずつ湧き出しているのだ。
「純也君、メガネからコンタクトに変えて、寝癖を、直すとイケメンになれるよ!」
と、言う。
「そっかな~、ありがと福満君」
「オレはみる目があるかさ」
そんな感じのやり取りが続き、どうしても福満と付き合いたかった。
なにも、出来ない僕は縁結びの神社へ向かった。地元では有名な神社である。
僕は、賽銭箱に小銭を投げて、神様に頼んだ。
『福満洋一と付き合えますように!神様お願い致します』
長く祈願した。
神社を出ようとした時、僕は呼び止められた。
「そこの吉田純也君、待ちなさい」
そこには、太鼓腹でメガネをかけた中年男性と爽やかな青年が立っていた。
「キミ、吉田純也君で間違いないよね?」
「はい。あなた方は誰なんです?」
「神様だよ!そこの縁結びの神様」
隣の青年も一言いう。
「僕は学問の神様なんです。この中年オジサンの神様だけじゃ、信用が薄いのでね」
「うるせ~な~。何だ、信用って!さっ、若者よ、信じて貰えたかな?」
「……か、神様って証拠は?詐欺師?」
2人の神様?は、顔を見合わせた。
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